あらすじ
GODの「東京全滅作戦」は、電話線を通じて殺人スモッグを東京中の電話機から噴出させ、東京中の人間を死に追い込むという恐ろしい計画。その決行を明日に控え、怪人ユリシーズには作戦の指揮と、Xライダーの介入阻止の任務が課されていた。
翌日、東京の街中に「ゴッドラダムス」を名乗る予言者が現れ、午後3時の東京全滅を予言。アポロガイストに誘い出され、その現場に遭遇した敬介は、ゴッドラダムスを尾行。しかし、ゴッドラダムスの正体であるユリシーズの罠にかかり、電話ボックスに偽装したガス処刑室に閉じ込められる。肉も骨も溶かす毒ガスに包まれ絶体絶命の敬介だったが、Xライダーに変身して処刑室の床を突き破って脱出する。
Xライダーとユリシーズの戦いにアポロガイストが介入。アポロガイストは自らがXライダーを引き受け、東京全滅作戦の遂行を優先するようユリシーズに促す。そして、ユリシーズがその場を離脱したのを確認して、自らも離脱した。
GODの手がかりを失った敬介は、ゴッドラダムスの予言をその場で強硬に否定した地球物理学者・植松にGODが手を出す可能性に賭け、植松の家を張り込んだ。結果、読み通り現れたGODを撃退し、さらには戦闘工作員を捕らえて変装しアジトに侵入する。しかし、変装は秘密警察に見破られており、Xライダーは地下の落とし穴に閉じ込められてしまった。
東京全滅作戦の決行が20秒後に迫る中、Xライダーは足にマグネットを装着して壁を垂直登攀して地下室を脱出。電話回線に結ばれたガス管を切断して、東京全滅作戦を阻止した。ユリシーズも戦いの末打ち破ったXライダーに、アポロガイストが高らかに宣言する。
「秘密警察の第一室長が改めて予言しよう。アポロガイストの名誉に賭けて、お前を殺す!」
解説
「ゴッドラダムス」の名前は、「ノストラダムス」が元ネタであるということは、私と同世代の人たちならおそらく誰でも気がつくでしょう。2000年以降に生まれた世代には、もしかするともう馴染みの無い名前かも知れません。
ノストラダムスは16世紀のフランスに実在した占い師で、彼が残した予言の中に、「1999年7月に空から恐怖の大王が来る」というものがあり、これが世界の終末の到来を意味するものとして、20世紀末にはオカルト好きを中心に、一部でまことしやかに語られていました。我々の世代は多感な時期だったこともあり、「馬鹿馬鹿しい」とは思いつつも、どこかで完全に否定しきれず、漠然とした恐れを抱いていたものです。
当時は米ソ冷戦のまっただ中で、「恐怖の大王」とは核戦争のことを意味すると解釈すれば、あながちただの妄想とも言い切れない妙な説得力があったのも確かでした。結局、1999年7月は何事も無く過ぎ去って、今に至るわけですが。
さて、そのゴッドラダムスに扮した怪人ユリシーズ。ユリシーズとは、ギリシャ神話に登場する英雄オデュッセウスのことですが、神話に登場する彼が予言者だったという事実は別に無かったはずですね。
「ゴッドラダムスの予言は99%的中する」
の台詞には思わず吹き出しました。100%じゃないんだと(笑)。外れたときの予防線を張ったつもりなんでしょうか。そして実際に外れますしね(笑)。
それにしても、東京中の電話から殺人ガスを吹き出させて東京を全滅させる作戦。電線を通じてガスを送るというしくみらしいですが…無理だろ、物理的に(笑)。現在だったら、ネット回線を通じてハッキングデータを送りつけて家電を機能停止に追い込む、くらいはもしかしたらできるかもしれませんが…。
だいたい、GOD総司令はXライダーの介入を阻止しろと言っているのに、なぜユリシーズもアポロガイストも、わざわざXライダーをおびき出すという、やぶ蛇なことをしたんですかね。黙ってやってれば作戦は成功していた可能性が高いと思いますよ。「ゴッドラダムス」なんて余計なパフォーマンスをしなければ、ですが…
アポロガイストがCOLでコーヒーを愉しんでいたり、Xライダーがガス処刑室から引田天功ばりのイリュージョンで脱出して見せたりなど、色々見所の多いエピソードと言えます。最後も、アポロガイストがXライダーへ決戦予告をかまし、次回への期待感を煽って終了します。
脚本:伊上勝
監督:内田一作