あらすじ
ショッカーおよびゲルショッカーの被害者達で組織され、各地で抵抗活動を繰り広げている「アンチショッカー同盟」。そのアンチショッカー同盟のコンピューターが、首領の正体を突き止めたという。そのデータが日本に送り届けられることを知った首領とブラック将軍は、アンチショッカー同盟がかならず少年ライダー隊に接触すると予想。仮面ライダーがムカデタイガーと相打ちとなって消息を絶ったことにつけ込み、仮面ライダーそっくりに造った「ショッカーライダー」を、少年ライダー隊本部に派遣。データを抹消すると共に、両組織の壊滅を企てた。
ライダー隊本部では、1週間も安否がわからない仮面ライダーに一同が不安を募らせていたところに、アンチショッカー同盟からの接触があった。彼らの依頼は、アンチショッカー同盟のコンピューターがはじき出した首領の正体のデータを、仮面ライダーに運搬して欲しいというものだった。
藤兵衛はその場にゲルショッカーのスパイが居る可能性を警戒し、仮面ライダーが消息不明であることを言えず、結局滝が受け取り場所へ向かおうとするが、そこに仮面ライダーが姿を見せた。一同はライダーの無事に安堵し、データの受け取りにはライダーと滝の二人が向かった。
しかし、ライダーはデータを受け取った後、突然態度を豹変させ、データをアンチショッカー同盟に届けようとする滝と藤兵衛を襲った。無事だと思われたこのライダーは、ブラック将軍が送り込んだショッカーライダーだったのだ。
データを破壊しようとROM装置を投げ捨てたショッカーライダーだったが、装置は突然現れたもう一人の仮面ライダーにキャッチされ、破壊は免れた。こちらこそが、本物の仮面ライダーだった。
仮面ライダーと偽仮面ライダーの対決。サイクロンとショッカーサイクロンのチェイスも交えた両者の対決は全くの互角。しかし、怪人ハエトリバチの加勢によって一気に状況が傾いた。ライダーキックの相打ちで弱ったライダーに、ハエトリバチとショッカーライダーが二人がかりで攻撃。ライダーは今にも岸壁から墜落する絶体絶命の状況に追い込まれてしまった。
解説
ショッカーライダー
偽仮面ライダーの登場です。
組織がゲルショッカーなのになぜ呼び方が「ショッカーライダー」なのかという疑問はつきまといます。まあ「ゲルショッカーライダー」では語呂が良くないからなんでしょうが…考えてみたら、本物の仮面ライダーだって元々はショッカーが造った存在なわけで、偽物だからってショッカーライダーもクソもあるまい、って気もします。
「仮面ライダーの偽物」自体は今後のシリーズでも、偽Xライダー、偽アマゾンライダー、偽スカイライダーが登場しますが、その中でもショッカーライダーは「初めての偽ライダー」という意味以上に、特別な存在です。
ショッカーライダー以降の偽ライダーは、その時の主役怪人がライダーに擬態した姿でしかありません。偽X、偽アマゾンに至っては怪人の戦闘形態の一種程度の意味でしかなく、ストーリー的に仮面ライダーの偽物としての意味があるわけではありません。偽スカイライダーは3体いるうえに、ライダーの姿で悪事を働いてライダーの評判をおとしめるという(その「悪事」も子供の悪戯レベルのしょーもないものだったりしますが…)、作戦的な行動もしていますが、それでも怪人の擬態であることには変わりありません。
しかし、ショッカーライダーはこの後に登場するNo.2からNo.6も含めて、仮面ライダーの偽物として独立した個体です。そして主役怪人と連携しながら、ライダーやその周囲を攪乱していく。なので脚本も凝っているというか、これまで以上に力の入った筋書きになっている気がします。
ちなみに、本物とショッカーライダーの見分け方は、マフラーとブーツ・グローブの色というのが有名ですが(偽物は黄色)、他にも偽物は両目に僅かに黒い縁取りがされていたりします。なんでゲルショッカーはこんなわかりやすい違いをわざわざ残したんですかね? 自分たちが偽物と本物を見分けられるようにするため? この位の違いなら藤兵衛達なら気づかないと侮った? …まあ実際藤兵衛達は気づかなかったんですが…
あらすじからは省いてますが、アンチショッカー同盟の石上(仮名)が、ライダー(本物)から偽物の存在を示唆され「仮面ライダーが二人いるなんて…」と驚いていますが、おもわず「おいっ!!」と突っ込みそうになりましたよ。
で、次回、その二人目(ただし本物)が登場しますw
コンピューターデータの運搬
話は変わり、アンチショッカー同盟のコンピューターがはじき出したという首領のデータですが、その実体は何かの信管のような円筒状の物体の姿をしています。
コンピューターのデータを運搬する手段としては、現在だとインターネットで一瞬だったりするので、このような物体として送付されてくるという感覚には違和感があるかもしれませんね。ただ、少し前の世代だと、USBメモリを想像するかもしれませんし、もっと前の世代だとフロッピーディスクでしょうか。当サイトの管理人はフロッピーを知っている世代です。
仮面ライダー放映当時はフロッピーディスクが登場して間もない頃で(フロッピーの登場は1969年)、まだ世の中に普及・浸透しているほどではなかったと推測します。
それ以前はどうだったか、さすがにその当時のコンピュータ事情までは管理人は知らないのですが、カートリッジ式のハードウェアのようなものが使われていたようです。読み取り専用のデータが記録されたROMを、コンピュータと接続することでデータを読み取る装置ですね。
わかりやすい実例は、ファミリーコンピューターのような、初期のゲーム機のゲームカセットみたいなやつでしょう。あれはゲームとしてのデータがカートリッジの中に機械回路として組み込まれており、それを本体と端子で接続することで、ゲームのデータを本体に読み込ませているわけです。
なので、あの円筒状の物体はおそらくコンピューターに接続して読み取るROM装置だったのでしょう(あらすじにROM装置と書いちゃってますが、私の推測で勝手にそうだと見做して書いてます)。運搬可能データとしては、現在の視点で見ると違和感のある物体でしょうが、当時のコンピューター事情から考えると、それほど突飛な物では無かったと思います。
脚本:伊上勝
監督:塚田正煕
