あらすじ
キングダークは、神敬介が西ドイツから帰国したバレエダンサーの菊池明子と接触しようとしているという情報を入手し、設計図が絡んでいると睨み、悪人軍団・カメレオンファントマを差し向けた。カメレオンファントマは菊池のバレエ研究所を訪れ、菊池に神敬介と接触する理由を詰問するも、菊池は敬介のことを知らない。それが信用できず執拗に問い詰めるカメレオンファントマの前に、敬介が乱入。Xライダーに変身した敬介と戦いを繰り広げるが、マーキュリーパワーを得てパワーアップしているXライダー相手には分が悪く、いったん撤退する。
病院で意識を取り戻した菊池に、敬介は「西ドイツでラピックという学者に合わなかったか」と尋ねる。実は、ラピック博士は南原が設計図を託した仲間の一人であり、敬介は博士から、菊池のペンダントに設計図を忍ばせておいたという連絡を受けていたのだった。しかし、菊池が敬介に手渡そうとしたペンダントを、藤兵衛が横から奪い取った。藤兵衛はカメレオンファントマが化けた姿だったのだ。
設計図が入ったペンダントを持ち帰ったカメレオンファントマだったが、ペンダントの中身はカラだった。設計図は、本物の藤兵衛が万一を考えて事前にペンダントから抜き取っていたのだった。
二度も設計図の奪取に失敗したカメレオンファントマは強硬手段に出る。菊池のバレエ公演の楽屋に潜入し、菊池を拉致。人質を盾に敬介を地獄谷へと呼び出し、設計図の受け渡しを迫る。要求通り設計図を渡し、菊池の身柄を取り返した敬介は菊池をクルーザーで避難させ、改めてカメレオンファントマに渡した設計図の奪還に出る。
カメレオンファントマは戦闘工作員と入れ替わる幻惑トリックでXライダーを翻弄、さらにはXライダーの姿をコピーして闘うなどするも、正面からの殴り合いでは本物のXライダーに分があった。文字通り、化けの皮を剥がされた後は、必殺の真空地獄車を食らって爆死した。
無事に設計図を取り返し、これで敬介に5枚、GODに1枚。争奪戦はなおも続く。
解説
カメレオンファントマのモチーフである「怪盗ファントマ」という人物には聞き覚えがなかったのですが、調べてみると、フランスの小説の主人公とのことです。同じ悪人軍団のカブト虫ルパンと同系統と言えるでしょうか。
素顔もわからない正体不明とされており、変装の達人であるとのことで、カメレオンファントマにもその特性が比較的忠実に再現されていると言えます。実際、カメレオンファントマが変装術を駆使して弄する策略と、それに立ち向かう敬介達の頭脳戦はなかなか見応えありますね。正直、このところショボいエピソードが続いていた本作では、久しぶりに面白いストーリーでした。Bパートの戦闘でも、これまでにないような戦い方でXライダーを翻弄しているのが、地味に面白かった。まあその分、正面切ってのたたき合いになると脆かったですけど…
ちなみに、カメレオンファントマが披露した変装は、菊池の知己である通信社の支局長、藤兵衛、そしてXライダー(笑)。いわゆる「偽Xライダー」ですが、その姿で何か悪事をやらかそうとワケではなく、単にXライダーの姿と能力を盗んで闘っているというだけのことですね。この偽Xライダーがストーリーの鍵になっているというワケではありません。そのせいなのかどうかはわかりませんが、見た感じ本物と偽物に外見上の違いはありません。
で、前回でもちらりと触れましたが、今回ライドルは全く使っていませんね、ライドルホイップを引っこ抜いてX字を切り「Xライダー!」と名乗るシーンさえなくなっている。正直、これは寂しすぎる(涙)。武器アクションはそんなに不評だったんですかねぇ…。個人的には、『仮面ライダーX』に視聴率低迷の原因があるとしたら、それは武器アクションや「セッタップ!」ではないと思いますよ、ゼッタイに…。
脚本:鈴木生朗
監督:田口勝彦