あらすじ
獣人達の食料を確保するべく、ゲドンはまさひこが通う城南小学校をワニ獣人に襲撃させた。まさひこと藤兵衛の連絡により駆けつけるアマゾンだが、ワニ獣人と闘っている間にジューシャ達が子供達と担任教師および藤兵衛を誘拐。その中には、たまたま川原でアマゾンと出会い、友情をかわした校外の少年・シゲヤも含まれていた。彼らはジューシャによって燻製室に入れられ、獣人達の食料とされかけていた。
アマゾンはシゲヤの母親に誘拐犯と誤解され、数人の男達にロープで樹に縛り付けられ詰問される。その場に現れたりつ子がまさひことともに取りなすものの、アマゾンが犯人と思い込んでいるシゲヤの母親らは聞く耳を持たない。人々のために闘っているのに、自分を理解してくれないことに憤りを禁じ得ないアマゾン。
そこに、アマゾン抹殺を十面鬼に厳命されたワニ獣人が現れる。アマゾンライダーに変身したアマゾンは、命を賭して向かってくるワニ獣人を激闘の末、頭部を切り刻んで打倒した。
モグラ獣人の案内で、燻製室から子供達と藤兵衛も無事に救出され、ゲドンの食糧確保計画は失敗したのだった。
解説
あらすじにすると随分とアッサリとしてしまいましたが、実際は結構濃密な内容です。
冒頭でアマゾンと友情をかわすシゲヤ少年を演じているのは、後に『仮面ライダースーパー1』で草波良役でレギュラー出演する早川勝也です。「スーパー1」での彼と比べると、4年前のことですから当然ながら幼さが目立ちますね。
そのシゲヤの母親が、アマゾンを誘拐犯と決めつけて、男達と共に問い詰めるシーンは、まさに本作品のコンセプトを象徴するシーンです。
仮面ライダーというヒーローは本来、人ならざる身体と成り果て、人知を超える異能を身につけた主人公が、世間からその正体を隠しつつ人知れず悪と戦うというのが基本フォーマットです。自分の正体が世間に晒されれば、その力を恐れた世間によって排斥の対象となりかねない。それでもその人々の平和のために、密やかに戦うという悲しき宿命を背負った存在。それが仮面ライダーというヒーローの本質です。
しかし、アマゾンはその風体からして、東京という都会の中では異形そのものなわけで、否応なく好奇の衆目を集めてしまう存在。言うなれば、正体を隠すことが最初から困難な1号ライダーみたいなもの。もしも、仮面ライダーの正体が世間に知れてしまったらどうなるのか? そのひとつの解答が、今回、アマゾンが大人達によって拘束・尋問されるあのシーンだと言えるでしょう。自分たちとは異質な存在を恐れ、無意識に排斥しようとする人間の性。第3話にも、似たようなシーンがありましたね。本作品には、偏見を戒めるメッセージも制作側によって込められていたのかも知れません。
さて、前話のヘビ獣人につづいて今回のワニ獣人も個性的な怪人…というか、このワニ獣人の風体は怪人と言うよりワニそのものです(笑)。一応二足直立しますが、重心は低く四つん這いに近い状態がキープされていて、アマゾンライダーとの技斗も、殴る蹴るといった感じにはならず、のしかかっておしつぶしたり、噛み付いたりと野獣の戦いそのものです。
ただ、新鮮味はあるんですけどやっぱり見栄えするものではないんですよね。かみつきやひっかきといった初期のアマゾンライダーの主要攻撃手段は、映像では非常にわかりにくく、組んずほぐれつしてる間に、なんかよくわからないけどいつの間にか獣人が弱っている、そんな感じにどうしても見えてしまいます。
このあたりはスタッフも試行錯誤していたのでしょう。しかし、結局解決策はなかったようで、番組終盤には従来に近いパンチやキックを多用した技斗に回帰していくことになるのですが。
脚本:村山庄三
監督:塚田正煕