あらすじ
川辺のキャンプ場で、大量のショッカー戦闘員の虐殺死体が、現地の少年ライダー隊員により発見された。通報を受けて駆けつけた猛と滝は、トラックで戦闘員達の死体を回収し、ショッカーに代わって結成されたという新組織の手がかりを掴もうとした。
しかし、猛達のトラックは途中で謎の青い戦闘員と、ショッカー崩壊のあたりから姿を見せ始めていた謎の怪人の襲撃を受けた。改めて、怪人の正体を問い詰める猛達に、怪人は自分たちが、アフリカ砂漠のゲルダム団を加えてショッカーの全組織を再編成した「ゲルショッカー」であることを明かした。ショッカー戦闘員よりも遙かに強いゲルショッカーの戦闘員に手を焼く猛達。猛は滝にトラックで先にショッカー戦闘員の死体を運び出すよう指示したが、既にトラックにはゲルショッカーによって時限爆弾がしかけられていた。
本部からの連絡でその事実を知った滝は、爆発ギリギリのタイミングでトラックを脱出して事なきを得た。爆発前に藤兵衛が運び出しておいた戦闘員の死体は城南大学病院に預けられたが、ガニコウモルが病院に侵入して戦闘員の死体を始末してしまう。
猛と滝は、ガニコウモルを尾行中に襲いかかってきた戦闘員のオートバイチームを逆襲して戦闘員を捕獲し、猿島でゲルショッカーの結成式が執り行われることを聞き出し、猿島に乗り込んだ。しかし、ゲルショッカー初代日本支部大幹部・ブラック将軍の策略にはまり、囚われの身となってしまう。
それでも細工を弄して監禁室を脱出した二人はゲルショッカーの結成式に乱入。ライダーはガニコウモルと戦い、滝はブラック将軍を追う。
ショッカー怪人を上回る戦闘力を誇るガニコウモルに手こずるライダー。ライダー錐揉みシュートでもトドメを刺すには至らず、激しい空中戦の末、ガニコウモルと空中で相打ちとなってしまった。
「ライダー…ライダーがやられた!!」
呆然と、ライダーが消えた海の彼方を見つめる滝。
果たして、ライダーの生死やいかに。
解説
新組織ゲルショッカーのお目見えです。
「仮面ライダー」の敵組織「ショッカー」に関しては、おそらく仮面ライダーにさほど詳しくなくても、名前だけ知っている人はそれなりに多いと思います。しかしさすがにゲルショッカーとなると「なにそれ?」でしょうね。
ゲルショッカーは、アフリカの砂漠で活動していた秘密結社「ゲルダム団」とショッカーが合併して誕生した組織。しかし、合併と言っても、首領は地獄大使を見限り、旧ショッカーの戦闘員を虐殺するなど、旧ショッカーを放棄する形でゲルショッカーを結成しているので、ゲルショッカーの主体はほとんどゲルダム団でしょうね。ゲルショッカー日本支部初代大幹部・ブラック将軍もアフリカの砂漠からやってきたと自己紹介しているので、元の所属はゲルダムだと考えられます。合併というよりは、首領がゲルダム団を取り込んで自分を担がせたというほうが正確かもしれません。
ゲルショッカーは旧ショッカーと比べて、大きく2つの異なる特徴があります。
1点目は戦闘員。ゲルショッカーの戦闘員は、ショッカーの戦闘員より遙かに戦闘能力が向上している(短距離ながらテレポート能力まである!)というのもそうなのですが、3時間ごとに薬(ゲルパー薬)を飲まなければ死んでしまうという、ある意味画期的な機密保持の仕掛けがあります。戦闘員を拘束しても、情報を引き出すのは難しいというわけです。戦闘員が組織を裏切ることも困難になっています。
よく考えられた設定だなと思う一方で、旧1号編の時と比べると、戦闘員の扱いがずいぶんと軽くなったものよ…と思わずにはいられません。
2点目は、怪人。ショッカーの怪人は、特定の動植物をモチーフとした改造人間ですが、ゲルショッカーの怪人は2種類の動植物の合成モチーフとなっています。ゲルショッカーの1号怪人とも言うべきガニコウモルは、「カニ+コウモリ」のモチーフです。複数のモチーフが合体したゲルショッカーの怪人はデザイン面でも非常に特徴的で、どれも一見の価値ありです。
今回は新たに登場したゲルショッカーの強さ・残忍さを印象づけるような演出が目立ちます。冒頭のショッカー戦闘員虐殺シーンだったり、戦闘員の3時間リミットの話だったり、最後にはライダーとガニコウモルが相打ちになったり…
ライダーは死んだのか!?という衝撃的なラストで引きを作り、次回へと続きます。
脚本:伊上勝
監督:山田稔