あらすじ
ゲルショッカーは京葉刑務所から凶悪な死刑囚を拉致し、怪人イノカブトンに改造した。
その能力は、人間を発狂させてやがて死に至らしめる猛毒ガス。その毒ガスをもって東京を壊滅させる作戦を計画していた。
首領は念のため、作戦を推し進める前に仮面ライダーの始末をブラック将軍に指示。イノカブトンは自身の実験台となった動物園の飼育員が収容されている病院を訪れた猛と藤兵衛を襲撃、藤兵衛はイノカブトンの毒ガスを浴びて倒れてしまった。
藤兵衛が浴びてしまったガスは未知の猛毒ガスで、現状では対処のしようがない。イノカブトンを始末する必要があると睨んだ猛は、ナオキ達の目撃情報を元に月見が丘の林へ向かう。その場にいたイノカブトンと戦闘員達が迎え撃つが、イノカブトンはライダー相手に苦戦しつつも、毒ガスとは別のもう一つの秘密兵器「ツノ抉り」をライダーの左脚に炸裂させた。それは、傷から流れ出る血が止まらなくなり、やがて全身の血が抜け落ちてしまうという恐ろしい技だった。高笑いしながら勝利を確信し、その場を去るイノカブトン。猛は血の止まらない左脚を抱えてまともに歩くこともできず、ナオキ達に発見された直後に気を失ってしまう。
輸血によりどうにか意識を取り戻した猛は、イノカブトンが遊園地で暴れているという報を聞きつけ、医者の制止を振り切って現地へ急行。しかし、左脚の傷は何ら癒えておらず、全身の血も不足している状態で大苦戦を余儀なくされる。毒ガスに脳を冒された藤兵衛にも襲われ、体力が尽きたところを、再びイノカブトンが角でトドメを刺そうとするが、強靱な精神力で辛うじて正気を残していた藤兵衛が背後からイノカブトンを襲撃し、角を切り落とすことに成功した。
動揺するイノカブトンに、ライダーはサイクロンごとイノカブトンを跳ね飛ばす「サイクロンアタック」を炸裂させ、撃破した。
ゲルショッカーによる「猛毒ガス東京壊滅作戦」は、こうして仮面ライダーによって阻止されたのだった。
解説
今回、滝が出てきませんね。スケジュールの都合でしょうか。劇中でも「こんな時滝さんがいたら…」なんて、その不在を嘆く台詞があったりするのですが、最後まで登場しません。
イノカブトンのもう一つの秘密兵器、「ツノ抉り」はなかなかエグい技です。単に深手を負わせるだけでなく、出血が止まらないような細工が施されているらしいです。普通、我々が出血を伴う傷を負うと、血液中の血小板が空気に触れることで凝固し、かさぶたとなって出血を止めます。ただ、この血小板が少なくなってしまう病気があって、そういう人はちょっとした傷でも出血が止まらないため、非常にまずいことになるんだとか。イノカブトンの「ツノ抉り」には、そんな血小板を減らす何らかの効果が仕込まれているのでしょうかね。
こういう「深手を負わせる」系の技は、たいてい「改造人間の強靱な回復力」で、次の決戦までにはほぼ完治しているというのがパターンなのですが、今回ライダーは、結局最後まで痛む脚と血液不足による体力の低下を引きずっての戦いを余儀なくされ、最後もライダーキックを放つことなどとても無理だったのか、サイクロンで轢き殺すという選択をしています。
ところで、今回のゲルショッカーの作戦の本丸は「猛毒ガス東京壊滅作戦」。すなわち、イノカブトンの毒ガスで東京中に発狂ガスをばら撒くというものなのですが…どうも毒ガスをばら撒く具体的な手段を用意していたようには見えません。猛に深手を負わせて戦闘不能にした後、イノカブトンは戦闘員を引き連れて遊園地で暴れ回るのですが、まさか毒ガスの拡散を、イノカブトンが暴れるがままに任せるつもりだったんじゃないだろうな…だとしたらえらく気の長い作戦だこと。
イノカブトンは結局倒されましたが、「現時点では対処のしようが無い」新型毒ガスの被害者達(藤兵衛含む)がどうなったかは描写されていません。イノカブトンが倒れたので毒ガスの効果もなくなった…ということでいいんですよね?ね?
脚本:石森史郎
監督:塚田正煕