あらすじ
まさひこがアマゾンに友人として紹介した少女・ヒロミ。彼女の父親は、高名な生物学博士・有馬誠一郎だった。十面鬼の命によりアマゾン抹殺の命を受けた「ゲドンで一番悪知恵の働く」ヘビ獣人は、生物学者である有馬が、文明も言葉も知らずに育ったアマゾンの存在を知れば、研究対象として興味を示すだろうと睨んで、助手の伊崎を殺害して入れ替わり、有馬にアマゾンの存在をほのめかした。有馬はヘビ獣人の企み通り、研究対象としてアマゾンに興味を示し、娘を騙してアマゾンを研究所へ案内させると、檻に閉じ込めてしまう。
アマゾンがヒロミに住処としている林から連れ出されたとモグラ獣人から聞いたまさひこは、藤兵衛とともに有馬の研究所を訪れるが、ヘビ獣人に脅されているヒロミは「アマゾンはもう帰った」という。しかしヒロミは、自分が嘘を言っていることを示す秘密のサインを、まさひこに密かに送っていた。
まさひこは藤兵衛と共謀して、うまくヘビ獣人の注意をそらしてアマゾンを檻から救出。自由を取り戻したアマゾンはヘビ獣人に襲いかかるが、藤兵衛が両者の戦いを見守っている間に、ジューシャがまさひことヒロミを誘拐。ヘビ獣人撤退後、ジャングラーでゲドンの車両を追跡したアマゾンがたどり着いたのは遊園地だった。
初めての機械仕掛けの遊具を交えたジューシャの翻弄に戸惑い続けるアマゾン。しかし、戸惑いつつも冷静さを失わなかったアマゾンは再びヘビ獣人と相対し、アマゾンライダーに変身。長い尻尾を駆使したヘビ獣人との戦いは一進一退も、最後はヒレカッターでヘビ獣人の頭部を切り裂き、絶命させた。まさひことヒロミも、無事に助け出された。
解説
アマゾンを自分の研究対象として確保するために、娘を騙してまで連れてこさせて、いきなり檻に閉じ込めるような狼藉を働いておきながら、娘がゲドンに攫われるとアマゾンに助けてくれと懇願する有馬博士は、すがすがしいくらいの胸糞野郎ですね。当時の子供達はこの、有馬博士を見てどのような感情を抱いたのでしょうね。
で、ヘビ獣人ですが、その姿からしてインパクトが凄い。まずもって、腕が無い。脚はあるけど。本作の獣人達は、より獣の方に寄せたデザインが多いのが特徴ですが、ヘビ獣人はそれを象徴する獣人の一人と言えましょう。冒頭で登場したときの印象をひと言で言えば、「カワイイ」でした(笑)。いや、大蛇が頭部のすぐ下に生えている小さな脚だけでちょこんと直立している様が、なんだかシュールで(笑)。こんなのでライダーと技斗ができるのかと言えば、これが意外とちゃんと闘いになっているから凄い。これは一見の価値ありだと思いますよ。また、最初はヘビにしちゃあ胴体短いなあ、と思ってたんですが、Bパートの闘いの最中にこの胴体がぐんと伸び、ヘビ感が大幅増量になるのも見逃せない。
そのヘビ獣人の最後は、大切断で顔面と、口を切り裂かれて、出血と共に斃れ…それまで。爆発もしなければ溶けて消えたりもしない。地味ぃ~な死に方ですけど、大人の目で見るとそれがかえってリアリティ出ていて、漠然とした恐怖感を残すんですよね。
前回、ゲドンを裏切ったモグラ獣人。自分の選択が正しかったのかまだ確信が持てず、ギギの腕輪を奪って手土産にゲドンに受け容れてもらおうか、などと呟いたりしてます。その一方で、既にまさひこ達ともすっかり馴染んでいる様子で、りつ子ですらモグラ獣人を怖がるそぶりを見せていません。アマゾンに持ってきた弁当を横取りしたモグラ獣人に「何すんのよ!」などと文句言ったりしてます。
あと、今回もまさひこ役・松田洋治の子供離れした演技力を垣間見ることができます。自分に嘘をついているヒロミを見つめる、その微妙な表情の作り方。いやー、本当に凄い。感服するばかりですわ。
脚本:伊上勝
監督:塚田正煕