よみがえる化石 吸血三葉虫(『仮面ライダー』第30話)

あらすじ

志村博士は、古代生物の三葉虫を、化石から組成させる実験に成功した。その研究に目を付けたゾル大佐は、三葉虫に人間の血を吸わせることで怪人を作り上げるショッカー独自の研究と結びつけ、怪人の素体とする三葉虫を確保しようとしていた。

ゾル大佐は研究を完成させた志村博士を誘拐、妻を人質に取り協力を迫る。志村博士が拒むと、ゾルは志村博士が実験用に蘇生させた三葉虫に妻の血を吸わせ、怪人ザンブロンゾを誕生させた。

ザンブロンゾは戦闘員達を率いて、公園でくつろいでいた滝を襲撃。それが失敗に終わると今度は、立花レーシングクラブにいたマリを襲い、血を吸って逃走。隼人はその場に残されていたウロコを大学の知り合いに分析してもらい、古代の生物の者であることをつきとめ、古代生物をよみがえらせる研究をしていたという志村博士を訪問しようとしていた。

一方で、志村は、息子まで人質に取られて不承不承に協力を了承。無事に三葉虫を蘇生させた志村を、ゾルは用済みとして始末しようとするが、それを見越していた志村は、すぐにまた自分が必要となるよう、三葉虫の寿命を短くなるよう調整していた。

激怒しつつも、予定通り三葉虫の国外持ち出しを強攻しようと部下を羽田空港へ向かわせるゾル。一方で、隼人も救出した志村博士からそのことを聞き出し、羽田空港へと急ぐのだった。

解説

首をかしげるところの多いエピソードです。非常にあらすじが書きにくい。ツッコミどころというか腑に落ちない点がいくつもあるんですよね。

第一に…ゾル大佐が語る今回のショッカーの作戦。

「大昔地球に住んでいた生物と、人間の血を吸って生きながらえる改造人間を結びつけることによって、新たなる怪人を世界に送り出し、世界征服への道につながらせる」

ごめんなさい、何度聞いてもイマイチ意味がわからないです。

第二に…三葉虫の個体について。

博士の妻の血を吸った三葉虫は、最初にショッカーが博士の研究室から盗んだものだと思われますが、後に志村博士がゾル大佐の脅迫の元に復活させた三葉虫もいるはずなんです。話の流れから、最後にライダーに倒されたザンブロンゾは、後者の三葉虫だと思われますが、では最初の妻の血を吸って生まれたザンブロンゾはどうなったの?

元々ザンブロンゾと化した三葉虫の寿命はそれほど長くない? なので最初の妻の血を吸ったザンブロンゾはすぐに死んだ? そこでより完全な寿命を持つ三葉虫を生み出すために志村博士を脅迫して、新たな三葉虫を作った?

第三に…結局ショッカーはどうするつもりだったのか?

用済みになれば自分たちは始末されると予見した志村博士が機転を利かせ、すぐにまた自分が必要となるよう、蘇生した三葉虫の寿命を短くしてしまった。それなのに、ゾル大佐はアジトに志村博士を置き去りにして、アジトごと爆殺しようとした。寿命の短い三葉虫を国外へ持ち出そうとしていたようですが、何をするつもりだったんですかね? 志村博士がいないと三葉虫はすぐに命つきるのに。

第四に…ザンブロンゾは何がしたかった?

Aパート終了の直前、大学へ向かう隼人をザンブロンゾと戦闘員が襲撃。隼人はライダーに変身するも…そこには誰も居ない。足下には小さな三葉虫となったザンブロンゾがいて「ライダーめ、小さくなれるとは気づくまい」。

…いや、あんた何したかったの? 隼人を襲うんじゃなかったの? 大学へ向かうのを妨害するんじゃないの?

第五に…マナー悪いよ滝。

公園で五郎とだべりながらバナナをパクつく滝。食べ終わったらその皮を、ポイッ。おい、それが警察官のすることか。

第六に…マリの結婚は30歳?

マリがトランプ占いをしながら「30まで結婚できないのかぁ…」とため息ついてますが、マリ役の山本リンダの結婚は結局50歳でしたね…

脚本:滝沢真里
監督:内田一作

第29話「電気怪人クラゲダール」第31話「死斗!ありくい魔人アリガバリ」
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