あらすじ
ペットショップで売られていたカラス。このカラスは人間の言葉を話し、歌さえ歌うということで、五郎ら子供達の話題の的になっていた。結局このカラスは、マンションに住み、ミヨとその母親が買い取っていった。
しかし、このカラスこそはショッカーの改造人間ギルガラスだった。ショッカーは新たに開発した、人間を凶暴化させ殺し合いをさせる「デッドマンガス」を日本中にばらまく「人類皆殺し作戦」を計画。その遂行者として、改造人間ギルガラスを抜擢したのだった。
カラスはミヨの留守中、両親がカラスを巡って言い争いをしているところに、ギルガラスの正体を現した。カラスが見たいと同行していた五郎とともにミヨが帰宅したときには、既にマンションの住人がデッドマンガスの犠牲となったあとだった。五郎の言動に不審を覚えた滝と隼人もその場に合流する。
隼人達はマンションから早急に脱出しようとするが、エレベーターで下降中に、ギルガラスが室内にデッドマンガスを流し込んだ。隼人がエレベータの天井を明けて脱出して、なんとかその場は全員無事だったが、デッドマンガスは、改造人間に対しては身体が麻痺するという副作用があった。ライダーに変身してギルガラスと戦う隼人は、この時吸ってしまったデッドマンガスの影響で、身体が麻痺して戦えなくなり、ギルガラスに屋上から放り投げられてしまう。命からがらレーシングクラブに戻った隼人はそのまま昏倒、入院してしまった。
詳しい事情を知らないユリたちは、隼人の見舞いに、ペットショップに再び売られていた人の言葉を話すカラスを購入し、病室に持ち込んだ。「人の言葉を喋るカラス」というユリの説明に、五郎の言っていたことを思い出した滝は、ペットショップで店主を詰問するが、正体を現した店主ら戦闘員達に捕まった。
隼人の病室内で本来の姿に戻ったギルガラスは、デッドマンガスとの融合で仮面ライダーの機能を完全に破壊する薬品「ガンマーG」を、動けない隼人に注射しようとする。しかし、動けないはずの隼人から思わぬ反撃を食らってしまう。そこにいたのは、隼人ではなかった。
「一文字隼人だけが仮面ライダーではない。俺は本郷猛、仮面ライダー第一号だ!」
「ヨーロッパのショッカー支部を次々に壊滅させた、あの本郷猛か!」
「一文字隼人は、意識を失う寸前におれに通信を送ってきたんだ」
猛はギルガラスに挑みかかるが、適当なところで芝居を打つ。デッドマンガスを吸って気絶したフリをし、ショッカーのアジトへと連れ込まれた。実は猛は、ヨーロッパのショッカー支部で見つけた、ガスの解毒剤を所持していた。隼人もその解毒剤で既に回復していた。
アジトに潜入した猛は、アジト内にデッドマンガスを流して壊滅に追い込む。死神博士は自ら猛を足止めし、ギルガラスに毒ガス散布を実行させようとするが、そちらは猛からの通信を受けた隼人が阻止に向かう。
最終的に死神博士は敵前逃亡。猛は変身してライダー2号とギルガラスの戦いに合流。さすがに二人がかりではギルガラスも敵ではなく、ダブルライダーキックを浴びせて倒した。
ギルガラスとの戦いを終えた二人。隼人は南米のショッカーと戦うため日本を発ち、これからは猛が再び日本に残って戦うことを決めたのだった。
解説
カラス田楽
「人類皆殺し作戦」という何のひねりもない素敵な名前の作戦を遂行するのは、怪鳥人ギルガラス。作中では自らそう呼んでいるわけでも誰かにそう呼ばれているわけでもありませんが、ちょっと前にも「怪鳥人」の名を冠するプラノドンって奴がいましたねぇ…、まあ、別に怪鳥人は一人しかいちゃだめって決まりはありませんが…
で、そのギルガラスが化けたカラスを、ユリたちがペットとして隼人の見舞いに持ってくる。うーん…衛生的に考えられない暴挙な気がしますが、当時は許されていたんですかね?今なら間違いなく大問題になりそう。
で、病室でこんな会話があるんですが、
ミカ「言うこと聞かないと焼き鳥にしちゃうから」
エミ「あら、カラスの焼き鳥なんてあるの?」
ユリ「あるわよ。信州上田のカラス田楽って、有名よ」
ホンマかいな…と思って調べてみたら、本当にあるんですね。マジでカラスの肉をつくね風にして食べていたらしい。昭和の時代は縁日で普通に売ってたとか。さすがに今では見かけなくなっているようですが。
Bパートの隼人がギルガラス&戦闘員ズと戦っている最中、剣を振るうシーンがありますが、隼人は右腕で振ってますね。本来佐々木剛は左利きだったのもあって、やはり今ひとつぎこちなさを感じます。左利きなのに右で持っていたのは、おそらくライダーのスーツアクターに合わせるためでしょうね。
主役再交代
さて、今回をもって「2号編」はおしまいとなります。
一文字隼人は何の前触れも無くいきなり南米へと飛び立ち、代わって本郷猛が日本の守りに就くことになりました。…もう少し主役交代の伏線を張ってもいいんじゃないのって気もしますが…
つまりは、本来の主演であった藤岡弘が、怪我から完全に復帰し、ほぼ一年ぶりに主演に返り咲くことになったというわけです。
制作サイドとしては、今後もダブルライダー路線で、という案もあったようですが、そこは隼人役の佐々木が「『仮面ライダー』は藤岡の番組で、自分はあくまで代役。藤岡に主演を返すべきだ」とこれを固辞したとのこと。
ただ、佐々木は仮面ライダーを嫌がっていたというわけではなく、これ以降も何度かあった客演のオファーは基本的に快諾していたそうです。筋を通すことを大事にする人だったのでしょう。実際、本番組中でも主役交代後も何度か客演しているほか、V3、X、ストロンガーなどその後の後継作にも度々客演しています。特に、歴代ライダーが次々と客演を果たしている『仮面ライダー[新]』の後期における客演の多さは群を抜いています。
次回から、再び本郷猛を主人公とした、「新1号編」スタートです。
脚本:伊上勝
監督:内田一作