あらすじ
日本の理論物理学最高権威とされる村山博士は、原子力に変わる新たなクリーンエネルギーの理論を研究、その完成は間近に迫っていた。デストロンはこの新エネルギー理論に目を付けた。改造人間マシンガンスネークが村山博士の研究所を襲撃し、研究室を漁るが、研究の主要書類は助手の道子が、清書のために持ち帰っていた。
その事実に気づいたマシンガンスネークは、道子が息子のツトムと二人で暮らす家を襲い、道子を研究書類とともに拉致。ツトムは気絶した状態のまま放置された。
翌朝、道子宅に新聞を配達に来たツトムの兄貴分であるマモルが、異常に気づいて気絶したツトムを発見する。二人は連れ去られた道子を探しに家を飛び出した。
二人と入れ替わりに志郎が、セントラルスポーツで道子が落とした所員証を届けに訪れると、そこにはマシンガンスネークが待ち構えていた。志郎が変身しようとしたところ、マシンガンで撃たれ左脚に被弾。無理矢理変身したものの、左脚の激痛でマシンガンスネーク相手にまともに戦えず、その場を撤退する。
志郎は自宅へと戻り、様子を心配して見に来た藤兵衛に左脚に埋まった弾丸の摘出を頼む。そこに純子も姿を現す。自分に近寄るなと純子をあくまで拒絶する志郎。しかし藤兵衛は無視して純子を助手として摘出手術を行った。
その頃、道子はデストロンのアジトで拷問にかけられていた。村山教授の研究は難解で、デストロンでは理解できる者がいなかったため、道子に説明させようとしていたが、道子は「自分にはわからない」と言い張るばかりだった。これ以上の拷問は彼女の頭脳に悪影響が出ると判断した首領は、マシンガンスネークに新たな指示を下した。
「痛めつけずに協力させる方法を考えるのだ」
一方、母親の行方を追うツトムとマモルは、道子の勤め先である村山研究所を訪れていた。ツトムから道子が攫われたと聞いてショックを受ける村山博士。そこに、再びマシンガンスネークが出現した。
「博士の身柄をもらいに来た」
しかし、ツトム達を先に逃がそうとした村山博士を、マシンガンスネークは殺してしまう。
逃げたツトム達を追いかけるマシンガンスネークと戦闘員達。橋の上で二人を追い詰めたデストロン一団。戦闘員相手にもがきながら、必死で助けを求める二人。そこに…
「待て!!」
V3が姿を現した。
V3はツトム達を先に逃がし、マシンガンスネークたちを迎え撃つ。しかし、戦闘員がV3の相手をしている間に、マシンガンスネークは逃げる二人にマシンガンを発砲。マモルが肩に被弾してしまう。
V3が「V3反転キック」でマシンガンスネークを仕留めるが、銃撃を受けたマモルは気を失ってしまう。ツトムとともにマモルを病院へ運ぼうとしたV3の前に、地を揺らしながら地面から現れた新たな改造人間、ハンマークラゲが立ち塞がった。
解説
この時代のヒーロー番組を見ていた子供が、一度は思うこと。
「変身中に攻撃すればいいんじゃね?」
至極当然の理屈です。特に仮面ライダー達は変身ポーズが長いので、変身中は一切無防備。最大の攻撃チャンスなのは間違いない。1ミリ秒で変身を完了する宇宙の刑事みたいな連中とはワケが違うのです。
でも、それはやってはいけない。それはヒーローをかっこよくあらしめるために、悪役が絶対にやってはいけない一種のタブーであり様式美なのです。
しかし!! 今回のマシンガンスネークは平然とこのタブーを破り、変身ポーズを取ったV3を銃撃するという暴挙に出ています。
さらに、マシンガンスネークはもう一つの暴挙を働いています。
少なくともショッカーあたりの怪人は、子供を誘拐することなどはあっても基本的に危害を加えることはありません。ショッカーの悪事の犠牲になるのは、ほぼほぼ大人達です。子供達はせいぜいショッカーに操られたり、あるいは人質として捕虜に言うことを聞かせるために使われることはあっても、直接的に傷つけられることは実はほとんどありません。
しかしマシンガンスネークはその機関銃をマモルとツトムに向け、あろうことか実際に発砲してマモルを負傷させています。
鬼畜!! まさに鬼畜の所業です!!
ただ,,,
「痛めつけずに協力させる方法を考えるのだ」
という首領の命令に、村山博士宅を襲撃するのですが…村山博士に対して「お前の身柄をもらいに来た!」と言う割にはあっさり博士を殺してしまうし、それじゃあツトムを人質に取って道子を脅迫でもするのかと思ったら、マモルもろとも機関銃を浴びせて殺そうとする。
…こいつはもしかすると、ちょっと頭の残念な脳筋野郎なんではなかろうか。
脚本:鈴木生朗
監督:塚田正煕