日本列島ズタズタ作戦!(『仮面ライダーX』第6話)

あらすじ

GODは日本列島の各地でゲリラ戦を起こし、全国を内乱状態にする計画を立てていた。怪人ミノタウロスの指揮の下、そのための武器弾薬を、基地に運び込んでいたのだが、戦闘工作員のミスで一部の爆薬が暴発。その暴発にたまたま通りかかったバスが巻き込まれ、乗客・運転手が全員死亡する大惨事となった。

事件にGODの影を感じた敬介は事故現場を訪れる。そこで、彼は暴発事故で両親を失った少女・サチコと出会った。涙ながらに父母を想って海の彼方に叫ぶサチコを抱きしめる敬介。敬介はサチコをCOLへ連れ帰る。藤兵衛の計らいで、サチコは藤兵衛の元で暮らすことになった。

その時、敬介は窓の外に涼子の姿を捕らえた。クルマで逃げる涼子をバイクで追う敬介。しかし、追いついてみるとクルマはもぬけの殻で、そこにはミノタウロスが待ち構えていた。ブルドーザーを駆る戦闘工作員と連携し、Xライダーをあと一歩のところまで追い詰めたミノタウロスだったが、すんでのところで仕留め損ない、撤退する。

両親の墓参りに出かけたサチコだったが、Xライダーへの復讐に燃えるミノタウロスに目を付けられており、人質として攫われてしまう。帰りが遅いことを心配した藤兵衛と敬介が墓地へ向かってみると、敬介の耳ががわずかなサチコの悲鳴を捕らえた。駆けつけてみると、そこにいたのは涼子とミノタウロスに人質として確保されていたサチコだった。ミノタウロスは抵抗できない敬介をあざ笑い、基地に拘束して時限爆弾を仕掛け、藤兵衛、サチコもろとも殺害しようとする。

両腕を拘束され、Xライダーにセットアップすることもできない敬介。絶体絶命の状況に、もはや死の瞬間を待つしか無いのか。天に祈るしか無くなったその場に現れたのは、霧子だった。無言で敬介を拘束する鎖を銃弾で切断し、立ち去る霧子。両手が自由になった敬介はXライダーにセットアップ。藤兵衛とサチコを抱えて基地を脱出し、辛くも危機を逃れた。

Xライダーはテロ計画を実行に移そうと移動するミノタウロスをクルーザーで追撃。驚いて迎撃するミノタウロスだったが、Xキックを食らって爆死した。

解説

GODの起こしたバスの事故で両親を失った少女・サチコですが…。直接的に悪の組織の悪事で親を亡くす子供って、実は珍しいんですよ。少なくとも、ショッカーやゲルショッカー、デストロンでは無かったと思います。最初から両親がいない孤児、っていうのはそれなりにいるんですが。

第2話で見せた、人々を自然にリンチへ仕向けるやり口といい、初期のGODは、それまでの悪の組織に比べると、実はめちゃくちゃえげつないです。前作や前々作に比べると、見ていて居たたまれなくなるシーンが多い。毎日放送に「ストーリーが大人向けを狙っている」と言われ、路線変更を迫られたのはこのあたりも絡んでいるのかもしれません。

そのサチコですが、ラストでも例えば孤児院に入ったとかいう描写も説明も一切無いので、形としては藤兵衛に引き取られたということになっているはずです。藤兵衛の元から学校にも通っていると、本人も両親の墓前で報告していますしね。しかし、登場は今回限りでレギュラー化するわけでもないんですよね…。まあ、藤兵衛がGODの手が及ばないように大事に育てているということにしておきましょうか。

さて、第4話では、作戦に子供を巻き込むことをよしとせず、メドウサの制止も聞かずとらわれの子供を逃がそうとした涼子ですが、今回はサチコを人質に取って敬介を脅迫することに何のためらいも見せていません。ホント、何なのこの人。そもそも涼子自身、第4話で「GODの名の下に」メドウサに処刑されたはずですが、何食わぬ顔で第5話に再登場してますしね…。やっぱり、涼子というキャラクターは色々中途半端です。

脚本:鈴木生朗
監督:田口勝彦

第5話「一つ目怪人の人さらい作戦!」第7話「恐怖の天才人間計画!」
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