あらすじ
黒峰山の資源調査団が既に7人、何者かに殺害されていた。これをGODの仕業と見た霧子はCOLを訪れて敬介に接触しようとしたが、敬介は不在で連絡も取れなかった。やむなく、霧子は藤兵衛とともに、中條が率いる調査団に加わって黒峰山に入った。
しかし、やはり黒峰山にはGODが入り込んでいた。敬介も合流した調査団を襲う矢。敬介が周囲に目を配ると、そこには涼子の姿があった。後を追おうとする敬介を霧子が制止する。
霧子は、涼子にはGODに加担する事情があり、自分は涼子の意を受けて敬介をサポートしていることを明かす。とても信じられないと困惑する敬介。そんな中、一団が河原で休憩していると、再び矢が飛来した。敬介は再び涼子の姿を見る。
第一弾の矢は回避した一行だが、第二弾の矢が敬介を庇った霧子に被弾、霧子はそのまま息を引き取った。
「殺した…霧子さんを涼子が殺した!」
地震とともに現れたGODの怪人・鉄腕アトラスと戦闘工作員を前に、敬介は怒りのセットアップ。しかし、怪力を誇るアトラスに苦戦し、「地球投げ」を食らって崖下に転落してしまった。
霧子の死で一度下山した調査団だったが、数日後に再び黒峰山に入った。そしてまたしても矢が飛来し、そこには涼子の姿も。逃げる涼子を追う敬介。敬介の声に振り返った涼子の目には、涙が浮かんでいた。
「今は何も訊かないで。こんなことがあったのを笑って話せる日が、きっとくると思います」
敬介は涼子に銃撃されるフリをしてその場を離れた。
さらに探索を進める調査団だが、中條の息子、ケンゴがアトラスの手に捕らわれてしまった。アトラスが敬介めがけて放った矢は、霧子の命を奪った矢と同じもの。矢を放っていたのは涼子ではなくアトラスだったのだ。
捕らえたケンゴを縛り付け、矢で射殺そうとするアトラス。しかし、不意に現れた涼子がケンゴを庇い、その胸に矢を受けた。驚愕する敬介が涼子を抱き上げてその場から運び出す。
涼子は国際秘密警察の潜入調査員だった。任務のために、敬介の父親に接近してGODに潜入を果たしていたが、その際に、サイボーグ手術を施されており、体内に自爆装置を仕込まれていた。そして今、GODを裏切ったことで、GOD総司令が握っている自爆装置のスイッチが作動。涼子は、アトラスの弱点が左の肩にあることを言い残し、そのまま爆死した。
アトラスの打倒を涼子に誓い、再びアトラスと対峙する敬介。アトラスの怪力に苦労しながらも、地球投げをはじき返した直後に、Xキックを左肩に浴びせ、アトラスを打ち破った。
父に続いて、恋人の涼子、そして霧子をも失った敬介。しかし、彼にはそれを嘆くことも許されない。そして、敬介を影から伺う不審な人影。改造人間・神敬介の、苛酷な戦いはまだ続く。
解説
怪…?
エピソードタイトルからすると、なんとなくSFミステリー的な謎多きストーリーを期待してしまうじゃないですか。でもね…
小地球→アトラスの持つフレイル状の武器。地球の模様が描かれている
中地球→アトラスの武器の一つである直径1メートルほどの重い球体。地球の模様が描かれている
大地球→アトラスが逆立ちすることで地震を引き起こす技(アトラスが地球を持ち上げているというイメージらしい)
どこにも「怪」なんかありゃしませんのですよ、これが!!
初めて観た時のあのズッコケ感と言ったらもう…
折角、涼子&霧子の最後の舞台なんだから、それなりのタイトルを付けてやれよとまず思うわけですよ。
涼子・霧子の退場
で、涼子と霧子が今回で二人とも死んでしまうわけです。最後の最後になって、涼子は実は正義側の人間で、GODには秘密捜査として潜入していたということが明かされるのですが、これまでの涼子の言動や所業を観ていると敬介ならずとも「とても信じられん」って気分ですわな。
涼子&霧子の二人を巡るミステリーな要素は、『仮面ライダーX』という番組の、新しい試みの一つだったわけですが、「子供向けじゃない」という制作局の一声で、番組放映開始前から既に路線変更が決まっていたと言うから笑えやしません。
ただ、この降板で仕事を失って悩んでいた美山尚子が、主演の速水に励まされているうちに交際に発展、翌年にはゴールインしたというのですから、人の縁とは不思議なものです。
降板の理由には路線変更の他に美山の演技力不足もあったと言われ、誰もそれを指摘できない中、速水だけが「女優に向いてない」と直言して、それがかえって美山を感激させたいうエピソードもあったりします。まあ、確かに素人目に観ても涼子&霧子の演技には若干の芝居臭さが漂っていたように思います。
今回のツッコミどころ
涼子・霧子最後の登場の回で、あまり細かいツッコミを入れるのも野暮なのはわかっていますが、だからこそキッチリと作り込んで欲しかったという思いも込めて突っ込みます(物は言い様…)
- 既に7人もの人間が正体不明の犯人に殺されているのに、入山を強行する黒峰山調査団
- 実際山中で矢が飛んでくるなど、明らかに命が狙われているのに下山しようとしない黒峰山調査団
- そしてさらに霧子まで犠牲になったのに再び入山する黒峰山調査団
- 鉄腕アトラス…あの少年型ロボットかよ!
- 涼子の死を敬介が看取るまで律儀に待っている優しいアトラス君
- GODに潜入調査しているというのに、敬介がちょっと見ただけで気づくようなところに国際秘密警察の身分証明をぶら下げている涼子さん
閑話休題、アポロガイストもその姿を現し、いよいよ次話からは新しい展開となります。
脚本:長坂秀佳
監督:折田至