あらすじ
南原博士が科学者仲間に送りつけた8枚の設計図。その一人である矢沢博士は、偶然にも交通事故で他界したばかりだった。設計図は彼の子供である恵子と正一の姉弟が受け取っていた。南原とも面識のあった恵子が墓参に訪れていたのを見ていたGOD悪人軍団・サソリジェロニモが彼女の自宅を襲撃。設計図を奪い取ろうとするが、事の重大さを認識している恵子は断固拒否。毒サソリで脅して自白させようとするところへ、Xライダーが乱入し、恵子を救出、COLへと連れ帰った。
COLで恵子は、設計図は丹沢へ登山に出かけた正一が持っている旨を敬介に告げる。しかし、その会話は盗聴器によってサソリジェロニモに聞かれていた。大至急、Xライダーに変身してクルーザーで丹沢へ急行する敬介。
一方で敬介よりも先に丹沢入りしたサソリジェロニモは、インディアンの一団を率いて教師が引率する正一一行を襲撃。設計図の供出を迫るも、遅れて到着したXライダーが乱入して阻止。
Xライダーの指示で、山小屋に逃れた一行だったが、子供が一人はぐれてしまい、探しに出た教師共々サソリジェロニモの手に落ちてしまう。二人を人質に、Xライダーに二枚目の設計図の供出を迫るサソリジェロニモ。手段つきたXライダーは、人質と引き替えに正一が持っていた二枚目の設計図をサソリジェロニモに手渡した。
さらにライダーが持っているもう一枚を奪おうと襲いかかるサソリジェロニモを、激闘の末Xキックで撃破したXライダー。サソリジェロニモが持っていた二枚目の設計図は、いずことも無く現れたカブト虫が回収し、キングダークの手に渡った。
設計図は、敬介の手に1枚、キングダークの元に1枚。そして、3枚目の設計図を狙い、悪人軍団の次なる刺客・カブト虫ルパンが行動を開始した。
解説
冒頭、GODとXライダーがそれぞれに南原の屋敷を訪れて、設計図の送付先の名簿を探そうとするのですが見つからず。敬介によれば、用心深い南原が既に破棄してしまったのだろうと。昭和シリーズには悪の組織に研究を狙われる科学者が大勢登場しますが、大抵、機密保持という点で脇が甘すぎる先生方が多い中、南原博士の機密管理は徹底してますね。
でも、その機密を託された方が甘い管理をしていては台無しです。設計図を託された矢沢博士の娘・恵子は南原の墓前でその機密をペラペラと口にしてしまい、サソリジェロニモに秘密を捕まれてしまう始末。いやはやなんとも…
冒頭の名簿をめぐる攻防もそうですが、恵子を連れ帰って設計図の所在を聞き出したと思ったら、サソリジェロニモに盗聴されていたなど、神経すり減る諜報戦が行われ、なかなかこれまでの展開とはひと味違って面白いです。
丹沢山中でサソリジェロニモらに襲われた正一一行。引率の教師が、「大事な物かも知れないが、渡してやってくれ」と正一に設計図の引き渡しを促すシーン。色々とモヤるところではありますが、教師として子供達の命を預かる身としては、常識的な判断ではあります。それでもどこか納得しがたいのは、これが子供番組であるからでしょうね。子供番組だからこそ、そこは正義を貫く気骨を見せて欲しかったという思いもあって、それがモヤモヤを感じさせるのでしょう。
さて、今回の悪人軍団・サソリジェロニモ。我々の世代でジェロニモというと、どうしてもあの超人プロレス漫画に登場する人間上がりのズラズラ正義超人を連想してしまうのですが…
実際にはジェロニモとは実在したメキシコ北部のインディアンの戦士で、家族をメキシコ人にだまし討ちされたことから、白人勢力への復讐を誓い、各地でゲリラ戦を展開。最後まで米軍、メキシコ軍に抵抗したインディアン勢力の中心となった人物です。
これだけ見ると、どちらかというと悪人はジェロニモと言うよりメキシコ人の方だろうと思わなくもないのですが、今後も悪人軍団には「これ悪人か?」と首をかしげたくなるような人物をベースとした怪人が時折登場します。まあ、トップバッターのジンギスカンコンドルから既に微妙でしたけど…
脚本:伊上勝
監督:田口勝彦