謎の怪盗 カブト虫ルパン!!(『仮面ライダーX』第25話)

あらすじ

南原博士が科学者仲間に送った8枚のRS装置設計図。そのうちの1枚は、南原が師と慕う、理論物理学者胴元博士の手に渡っていた。しかし、病に冒され既に余命僅かで、後継者もいない胴元は、このままでは設計図を守り切れないと、非常手段を取る。庭で野球に興じていた二人の少年に薬を盛って眠らせ、その背中に特殊なフィルタを通さなければ見ることのできないα光線で設計図を転写し、オリジナルは焼き捨てた。

一方、敬介は南原博士が過去に参加した科学者会議の写真を入手。そこに写っていた胴元博士が何か手がかりを持っているのではと睨む。しかし、藤兵衛とかわしていたその会話は、GOD悪人軍団・カブト虫ルパンに盗聴されていた。敬介とカブト虫ルパンは胴元の研究所で鉢合わせ、小競り合いとなる。敬介がXライダーにセットアップし、カブト虫ルパンは一時撤退。

胴元は設計図の所在を敬介に明かす前に絶命。敬介もGODも手がかりを失ったかに見えたが、敬介は胴元の家に落ちていた子供用のグローブから、胴元の家を訪れていた二人の少年に接触。プールで紫外線にサラされたタカシ少年の背中に浮かび上がった設計図を発見することになる。しかし、一連の敬介の行動を監視していたカブト虫ルパンによりタカシともう一人のノリオ少年は拉致される。

Xライダーの追跡をかわし、二人の背中に太陽光を浴びせて浮かび上がらせた設計図を写真に撮影したカブト虫ルパン。しかし、その写真はXライダーがライドロープで横取りした。怒るカブト虫ルパンは設計図を取り返すべくXライダーに挑みかかる。カブト虫ルパンの細剣にライドルホイップで応戦するXライダー。目くらましの技も使ってXライダーを翻弄するが、ギロチンハットが戦闘工作員に誤爆したところにXキックを食らって爆死した。

少年達の背中に焼き付けられた設計図は、敬介の手でσ光線により無事消去され、RS装置の設計図は、敬介の手に2枚、GODに1枚となった。

解説

前半期GODの神話怪人には秀逸な造形が多かったのですが、残念ながら悪人軍団は軒並み平凡。しかしその中にあってカブト虫ルパンは異彩を放ちまくってます。シルクハットを被り、モノクルを装着し、燕尾服のようなスーツを着込んだその紳士然とした佇まいは、まさに怪人と言うよりはまさに怪盗という雰囲気で、悪人軍団の中では一番好きな怪人です。「ルパルパルパルパ」という呟き声も外連味たっぷりで良い。BパートのXライダーとの剣戟アクションも見応えがあります。

胴元が死に、手がかりを失うとみるや、分身のカブト虫を使って敬介の行動を監視。労せずして二人の少年に行き当たり、敬介から横取りしてしまう狡賢さは、アルセーヌ・ルパンの化身と名乗るだけのことはある…かな?

それにしても胴元博士ですね。いくら自分に後継者がいないからって、何も知らない少年達に設計図を焼き付けるとか、いくらなんでも軽率すぎるでしょう。南原が「正しく使えば天使の贈り物」と称する装置を闇に葬るのはためらいがあったもしれませんが、「人類の平和のためにはやむを得ない」というくらいならいっそ処分してしまった方が良かったのではと思います。

しかし、特殊なフィルターを通さなければ見えないはずのα光線が、太陽の紫外線にさらされただけで浮かび上がちゃうというのはズッコケ以外の何者でもないですね。

脚本:鈴木生朗
監督:内田一作

第24話「復しゅう鬼ジェロニモ!音もなく襲う!!」第26話「地獄の独裁者 ヒトデヒットラー!!」
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