あらすじ
ブラックサタンは鎌倉のドライブインを、奇械人ワニーダを派遣して占拠し、そこを訪れた者達を奴隷人間として使役していた。そのドライブインを訪れた大木康平・文太の親子も、ブラックサタンの魔手にかかった。襲いかかる奴隷人間達から文太を逃す康平だったが、元レスラーの彼といえども多勢に無勢であった。
文太は助けを求めて藤兵衛のクルマを呼び止める。文太の案内でドライブインへ向かうが、その途中でワニーダに襲われた。茂達も現れ、ストロンガーに変身した茂はワニーダを一蹴。ブラックサタンが去った後に文太から事情を聞き出す茂達だったが、そこに康平が現れる。何事も無かったかのように文太を連れ去る康平。その様子に違和感を感じた茂とユリ子は密かに親子を追跡する。
海岸でブラックサタンの戦闘員に襲われた康平親子を助けた茂だったが、これは罠。縛られていた康平を助けたところに、康平から毒ガスを浴びせられた。康平は既にワニーダに取り憑かれていたのだった。茂は毒ガスで意識を失う。
一方、茂と別行動を取っていたユリ子もドライブインでワニーダの罠にかかり、電波を通さないケージに閉じ込められ変身も出来ない状況に追い込まれていた。毒ガスで意識を無くしていた茂に暗示をかけ、ユリ子を殺すよう命ずる茂。しかし、茂はユリ子に襲いかかるフリをしてその場から脱出してしまう。毒ガスは効いていなかったのだ。
茂はストロンガーに変身し、ワニーダの前に立ち塞がる。ワニーダが自動車で逃走を図れば電気マグネットで無理矢理引き戻し、川の水中に逃げ込めば、電気ストリームで川の水を干上がらせられ、トドメに電キックを食らってワニーダは爆死。
奴隷人間と化していた人々も正常に戻り、ドライブインは無事にブラックサタンの支配から解放されたのだった。
解説
今回は鎌倉ロケです。
ブラックサタンはドライブインを占拠して、そこを訪れる人間達を奴隷化していたわけですが、それで何をしようとしていたのかは結局よくわからないまま、茂達に叩きつぶされてしまいます。さらに言えば、奴隷人間達はワニーダの命令を1から10まで受け容れているわけではなく、脅しを受けてようやく動き出すような描写もあり、完全に精神を支配されているような感じではないようにも見えるのですが、ドライブインで大木親子を襲う奴隷人間達は笑いながら任務を遂行していたりしますし、ますますよくわからないですね。
そして今回も茂およびストロンガーの理不尽な強さは遺憾なく発揮されます。AパートでもBパートでも、なんらいいところ無く一方的にストロンガーに蹴散らされるワニーダもそうなのですが、今回一番のハイライトは、毒ガスを浴びても何ら影響を受けていなかったストロンガーとワニーダのやりとりでしょう。「何故だ!何故あのガスが効かなかった!」と当然の疑問を投げかけるワニーダ。そりゃそうでしょう。ブラックサタンがわざわざ茂用に発明したという毒ガスです。それが全然効かなかったとなれば、そりゃ疑問を投げたくもなるというものです。それに対する茂の答が、また理不尽極まりない。「そんなこと、俺が知るか!」こんなひと言で片付けられちゃ、わざわざ対茂用に毒ガスを発明したブラックサタンとしては、たまったものじゃありませんよ。
まあしかし、ブラックサタンという組織は歴代組織と比べても圧倒的に低レベルだと言わざるを得ませんね。そもそも、城茂ことストロンガーは、ブラックサタンの手で改造された存在なわけですよ。ある意味、茂以上にストロンガーの特性を知っていてもおかしくない立場なのです。その、ストロンガーの特性を知り尽くしているはずのブラックサタンが、わざわざ茂用に発明したという毒ガスが全く効果を発揮しないというのは、無能のひと言では飽き足らないレベルの無様さ加減ですよ。どこまで無能ならこんなことが起こりえるのか、逆に訊きたいくらいです。
閑話休題
今回物語のメインに関わる大木親子。その父親・康平を演じているのは大前均という俳優です。劇中では元レスラーという設定で、そう言われても違和感の無い、実に目立つ堂々たる体格を誇る彼ですが、柔道の経験こそあるものの、本当に元レスラーというわけではないようです。ただ、やはりその体格と風貌から、パワーファイター系の悪役を演じることが多い俳優だったとか。特撮関連でも、後に『電子戦隊デンジマン』でバンリキ魔王としてレギュラー出演しています。
脚本:伊上勝
監督:折田至