ゲルショッカー死の配達人!(『仮面ライダー』第87話)

あらすじ

ブラック将軍立案のD3号計画とは、日本各界の要人を暗殺し、代わりにゲルショッカーのロボットを送り込むことによる裏面からの日本征服計画。ブラック将軍がリストアップする暗殺リストに従い、要人に殺害予告状を送り、改造人間クモライオンが殺害を遂行。

日本産業界会長の細谷勉が最初の犠牲者となり、続いて日本科学アカデミー理事長の青野博士が標的となる。青野博士の関係者にライダー隊員がいた関係で、殺害予告状が藤兵衛の手にわたり、猛と滝が青野博士を誘拐するゲルショッカーのクルマを追跡し暗殺を阻止しようとするが間に合わず、青野博士は第二の犠牲者となった。

第三の殺害予告は藤兵衛の元に送られた。猛と滝は藤兵衛とともにライダー隊本部で予告時刻を迎えるが、ゲルショッカーは現れない。猛が外を確認しに出た後、滝が改めて予告状を確認すると、そこにあった藤兵衛の名前は消え、代わりに本郷猛の名前が浮かび上がった。第三のターゲットは藤兵衛ではなく猛だったのだ。

表に出た猛は怪しげな黒装束をライダーに変身して追跡の末、拘束。ゲルショッカーのアジトに案内させるが、そこで罠にはまり密室に閉じ込められる。午前6時、予定通り決行されるライダーの処刑。巨大針が敷き詰められた天井で押し潰す処刑装置で処刑が完了した後、クモライオンがライダーの死亡を確認しようとするが、聞こえてきたのはライダーの高笑い。ライダーは天井の針をへし折ることで難を逃れていたのだった。

アジトの外で決戦に臨むクモライオンとライダー。クモライオンの高い格闘能力に手こずらされる場面もあったが、クモの糸攻撃を封じ込め、最後はライダーフライングチョップを炸裂させ勝利した。

解説

要人リストを作って暗殺。ショッカー時代であれば、むしろこれらの人間を脅迫して、手先として動かすことを選ぶでしょうが、度重なる失敗でさすがに懲りたのでしょうか。裏切られたり、ライダーを呼び込むリスクを冒すくらいなら、せめてゲルショッカーの邪魔にならないように始末してしまおうということかもしれません。

だがしかし、暗殺するのにわざわざ予告状を送るあたりがブラック将軍の趣味ですね。作戦遂行上は警戒を呼び込むだけで何らメリットが無いはずなのに、そのような示威行為を好む。ショッカーの幹部にはあまり見られなかった傾向だと思います。むしろ、「仮面ライダーX」のGODに近い。ただ今回に限って言えば、暗殺リストには猛も含まれていたわけですから、むしろ猛を誘い出すという意味での予告状だったのかもしれませんが。

ライダー処刑における、針た付いた天井が徐々に降りてくるシーン。昭和の時代はこういうのを特撮だけじゃなく刑事ドラマとかでも普通に見かけたような気がします。今思うとあまりも外連味の強い演出な気がしますが、当時の私はそれなりにハラハラしながら見ていた気がします。

ただ、実はライダーに針をへし折られていて無事だったという不手際は、あまりにもお粗末すぎて失笑しか出ませんねw。

脚本:伊上勝
監督:塚田正煕

第86話「怪人ワシカマギリの人間狩り」第88話「怪奇 血を呼ぶ黒猫の絵!」
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