あらすじ
ガランダー帝国の「東京全滅・カビ作戦」。それはキノコ獣人が生み出す、人間を溶かす殺人カビを量産して東京中にばら撒き、一気に壊滅を狙う計画。ガランダーは殺人カビの実験を繰り返し、笹山団地を舞台に行われた実験で、住民達は溶けて全滅。カビも跡形も無く消滅し、実験の結果は謎の集団行方不明事件として報道された。
しかし、事件の中で唯一、残された赤ん坊がいた。その存在はアマゾン達にとっては事件の重要な手がかりだったが、ガランダーにとっても何故カビの中を生き残ったのか、謎を残す存在。キノコ獣人は赤ん坊を誘拐しようとしたが、アマゾンに阻止される。
失踪事件にガランダーが絡んでいることが明確になったことで、なぜ赤ん坊が生き残ったのか調査が進られるなか、りつ子達によって別の事件の報告がもたらされた。高速道路で、人間がカビにまみれて消滅したという。どうやら、そのカビが事件のカギを握っている。
解毒剤を作るサンプルのためのカビをガランダーのアジトから持ち帰る任務に、モグラ獣人が志願。モグラ獣人はアマゾンを裏切ってキノコ獣人に取り入るフリをして、アマゾンを殺害するためと称して殺人カビを受け取るが、その意図はキノコ獣人に見破られてしまう。地力に勝るキノコ獣人に一方的に嬲られ、土中へ逃れ逃走するも、既にキノコ獣人のカビを大量に浴びた後だった。
瀕死のモグラ獣人が持ち帰ったカビから、赤ん坊の謎が解明され、解毒剤も完成した。しかし、既に毒の回ったモグラ獣人は自らの死期を受け容れる。
「憎いガランダーを…やっつけてくれよ、頼む…頼むよ…」
悲しみに泣き叫ぶりつ子とまさひこの腕の中で、モグラ獣人は息を引き取った。
友の死に怒りと悲しみを爆発させたアマゾンは、モグラ獣人の言い残した芝浦水門地下のガランダーのアジトへ突入。「東京全滅・カビ作戦」決行前のキノコ獣人を襲撃。既に解毒剤を服用したアマゾンには殺人カビも通用せず、アマゾンの猛攻に為す術もないキノコ獣人。
「…モグラァァァッ!!」
亡き友の名を叫びながらの大切断で、弔いの戦いに打ち克ったアマゾン。
命がけでカビを持ち帰り、東京を全滅の危機から救ったモグラ獣人。アマゾン達はモグラ獣人の亡骸を埋葬した。その墓標には「勇気の士 モグラ獣人の墓」の文字。ガランダーとの最後の戦いが近づいているのを感じる中、友の墓前に決意を新たにするアマゾンであった。
解説
モグラ獣人の最期
タイトル通り、モグラ獣人の最期の回です。この回は何度見ても涙腺が緩みます。
その感動を支えているがまさひこ役の松田洋治の演技力にあるのは間違いないでしょう。当時の子役達の技量水準を考えれば、彼のこの迫真の泣き演技はハッキリ言って突出してます。当時の平均的な子役のいかにも演技くさい泣きでは、ここまで心が動くことはなかったでしょう。「天才子役」の本領発揮といったところですね。
モグラ獣人が志願して敵アジト潜入に向かう際に、りつ子が「モグラさん、気をつけてね」と声をかけるのも、結末を知っている状態で見るとなんとも切ない。最後にアマゾンがモグラの名を絶叫してからキノコ獣人にトドメを刺す展開も実に胸熱。
個人的には、心が動いたエピソードという意味では昭和シリーズの5本指に入る名エピソードです。
その他
さて、メインのモグラ獣人の話はこのくらいにして、それ以外の要素に目を向けますが…
今回はアマゾンが珍しくAパートで変身してみせてます。本作では、アマゾンはAパートで変身することはあまりなく、Aパートで獣人と遭遇しても変身せずに戦うことが多いのですが。
また、あらすじでは謎解きを省きましたが、赤ん坊が一人生き残った理由は、「赤ん坊が風邪をひいていたから」というもの。殺人カビは風邪のウィルスに弱かったという、なんとも脱力なオチです(笑)
脚本:伊上勝
監督:塚田正煕