人喰いサラセニアン(『仮面ライダー』第4話)

あらすじ

とある遊園地内の植物園を散策するユキエとケンジの姉弟。その姉のユキエが、弟の目の前で食虫植物サラセニアの怪人に襲われ忽然と姿を消した。たまたま遊園地に遊びに来ていたルリ子とひろみは、泣きながら歩いていたケンジを保護し、連れ帰った。

姉が怪人に襲われたとケンジが訴えても、突拍子も無い話は大人に信じてもらえず、まともに取り合ってもらえない。しかし、既に6人も植物園の近くで蒸発している事実を突き止めていた猛が、ケンジの言葉を元に実際に植物園を訪れ、内部を調査していると、ショッカー戦闘員の襲撃を受けた。

ライダーに変身して襲撃を退けた猛は、捕虜として連れ帰った戦闘員を尋問して、怪人のアジトを突き止め現場に急行す。

その頃ショッカーは、誘拐したユキエをまさに改造人間実験にかけようとしているところであった。

猛の救出は果たして間に合うのか?

解説

前回のさそり男が操る人喰いサソリは実際に人を食うと言うよりは、毒液を浴びせて殺すだけというオチがつきましたが、今回の「人喰いサラセニアン」は一応、「人喰い」っぽい片鱗を見せています。

ケンジが「怪人に食われた」という姉ユキエは、食われたのでは無く単に地面に引きずり込まれただけですが、猛に捕まった戦闘員を始末しに来たサラセニアンが、実際に戦闘員を捕食するようなシーンがあります。

また、この時代の子役は総じてそうなのですが、今回のケンジのようにスポット出演のレベルだと、演技の未熟さがやはり目立ちますね。今時の子役タレントなら、大人も顔負けの演技力を概ね持っている子ばかりですが、今回のケンジ役の子は、現代の基準ではとてもドラマ出演は無理でしょう。

そのケンジを励まそうと手を握るも、力の加減がうまくできず、ケンジの手を握りつぶしかけてしまう猛。「もう子供をあやすこともできない体なのか」と愕然として部屋を飛び出す猛。旧1号編では、このように改造人間としての悲しみと苦悩が徹底して描かれていきます。

植物のモチーフ

前回までに登場したクモ、コウモリ、サソリは仮面ライダーシリーズを通じて頻繁に使われる怪人のモチーフですが、今回のサラセニアモチーフは、私の記憶にある限りこのサラセニアンが最初で最後だったと思います。そもそも植物のモチーフ自体あまり多くはないのですが、それでもバラなどは複数回使われていたはずです。

ある意味、今回のサラセニアンはレアな存在と言えるかもしれません。劇中では全く言葉を発すること無く、旧1号編ならではの不気味さ極まる怪人という意味でも、一見の価値ありかと思います。

脚本:市川森一、島田真之
監督:折田至

第3話「怪人さそり男」第5話「怪人かまきり男」
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