怪人狼男の殺人大パーティー(『仮面ライダー』第39話)

あらすじ

ショッカーは「狼作戦」の実験台として、夜道で二人組の酔っぱらいを襲い、一人のウルフビールスに感染させ、狼男とした。しかし、その現場は孤児院・若草園の園児、久美に目撃されていた。

久美は狼男を目的したショックから、熱を出して寝込んでしまう。大人は誰も久美の狼男の話を信じないが、久美を見舞った隼人は、現場近くで二人の男が失踪していることから、念のため現場を調査する。

一方、久美に目撃されていたことを知ったゾル大佐は、狼男を送り込んで久美の拉致を画策するも、久美は既に立花レーシングクラブに保護されており、失敗に終わる。

その立花レーシングクラブにFBIより、ショッカーの幹部が狼作戦に関連して丹沢地区に訪れるという情報がもたらされ、隼人と滝が現場へ向かう。情報どおりに現れたショッカーの幹部を襲撃し、彼が持っていたアタッシュケースを奪うと、中に入っていたのは、狼作戦の開始を祝い開催される、ゾル大佐が招待した仮装パーティの招待状だった。

解説

いや、笑っている場合か

今回のメイン怪人である狼男は二体登場します。一体は、番組冒頭で酔っ払いがウルフビールスに冒されて変身した青い狼男。そしてもう一体は、ゾル大佐が変身する金色の狼男。金色の狼男は結局ライダーに敗れて爆死しますが、青色の狼男は若草園で久美の拉致に失敗したのを最後に行方について触れられていません。はてさて、一体どうなったのやら。

その久美の拉致の失敗は、狼男がさらったのが、実は久美と入れ替わっていた五郎だったというオチ。久美?を人質に隼人を脅す狼男を隼人はあざ笑い「その薄気味悪い目でよく見ろ!」と啖呵を切ると、そこに居たのは久美ではなく五郎だったということなのですが…いや、久美が五郎に変わったっていうだけで、普通に子供の命が危険にさらされてるのは一緒だからね? 何のんきに笑ってんのアンタ? ってかよく五郎を身代わりにしようなんて考えたもんだ。鬼か。

ゾル大佐の最期

ゾル大佐が偽の暗号文をFBI経由で流して隼人達をおびき出したかと思えば、逆に隼人達は「話がうますぎる」と疑ってさらにその裏をかく頭脳戦。さすがはゾル大佐最後の活躍、なかなか見応えがあります。

「貴様が仮面ライダーに変身できるごとく、俺もまた変身する!」
「すると私同様、改造人間!」
「クク…俺の本当の姿を、今見せてやる!」

ゾル大佐が狼男に変身するシーンは、今回最大の見せ場と言っていいでしょう。

隼人同様、人間体から怪人形態に変身するゾル大佐。もしかすると、人間体を持つのは、ショッカーでも高位の改造人間に与えられた特権のようなものなのかもしれません。モグラングのように、人間の姿に未練のある改造人間がいるのも、そう考えれば納得はできる…かな?

さすがに大幹部。ライダーとの戦いは今まででも屈指の熱戦となり、最後はライダーパンチを食らって爆死。

ショッカー初代日本支部大幹部、ゾル大佐の最期です。うーん、私はショッカーの歴代大幹部ではやっぱりゾル大佐が一番好きだなあ。正直、死神博士や地獄大使は作り物感が凄くてまったく現実感が無いけど、ゾル大佐みたいな悪人は普通にいそうだものなぁ。現実感があればこその恐怖と迫力というか…宮口二郎氏の演技はとても良かった。

で、次回からその死神博士が、本郷猛とともに登場。次回、ダブルライダーの共演が実現!

脚本:伊上勝
監督:山田稔

第38話「稲妻怪人エイキングの世界暗黒作戦」第40話「死斗!怪人スノーマン対二人のライダー」
『仮面ライダー』エピソードリスト・解説へ