あらすじ
GODは東京から大量の金を盗み出すことで、経済を混乱に陥れる撹乱工作を企てていた。その任務に当たる怪人ヒュドラーは、病院に怪我で入院していサトル少年の入院費をくすねたり、店舗のレジから金を消し去ったりしては、池の底に構えたアジトに運び込んで悦に浸っていた。
ヒュドラーは計画をさらに前に進めるべく、東京中央銀行から運び出される数億円の現金を標的に定めた。戦闘工作員達が現金輸送車を巧みに誘導し、輸送車が孤立した橋の上でヒュドラーが輸送車を襲撃。しかし、そこに敬介が乱入した。東京の各地から現金が消えているのがGODの仕業なら、次はもっと大きなカネを狙うはずという読みから、現金輸送車をマークしていたのだった。
しかし、ヒュドラーに足止めされている間に戦闘工作員に現金を持ち去られてしまう。その上、Xキックがヒュドラーの頭部を直撃しても、切断された頭部は再び接合し、倒れない。アポロガイストが加勢に入ったこともあり、分が悪いとみたXライダーは川に飛び込んでその場を離脱した。
「深追いはやめることだな。それよりお前はマズいことをしたぞ」
ヒュドラーに告げるアポロガイスト。ヒュドラーが現金輸送車を襲い、現金を奪う一部始終は、病院の屋上から双眼鏡を覗くサトル少年に目撃されていた。
ヒュドラーはサトルの病室に侵入し、秘密を知ったサトルの口を封じようとするが、そこに姿を消していたXライダーが現れ、サトルを救い出す。ヒュドラーとXライダーは病院の屋上で戦闘工作員を交えて激しく交戦。その中で、Xライダーのキックがヒュドラーの頭部を直撃して頭が切断されるが、再び頭部は接合、再生してしまう。
一度は池の底のアジトへ逃走するヒュドラーを、その体液を辿って追尾して逃がさないXライダー。再び地上戦となるが、最後は三度目のXキックがヒュドラーを直撃。今度は頭部が吹っ飛ぶことはなく、そのままヒュドラーは爆死した。
こうして、GODの経済撹乱工作は阻止された。
解説
前半期のGODの怪人は、ギリシャ神話をモチーフにした、彫像のような外見が特徴的とされていますが、今回のヒュドラーはその中でも秀逸な造形です。上半身のバランスが微妙に左右非対称になっていて、「蛇の首」感がよく出ていますね。前半期のGOD怪人では造形的には一番好きですね。
首を落とされてもすぐに再結合してしまうヒュドラーにXライダーもそこそこ手を焼くのですが、三度目のXキックは何故か普通に通用して、爆死。頭じゃなくて胴体に当たったから有効、ってことなのかな? 炸裂の瞬間は頭に当たっているように見えなくもないですが…
ちなみに今回、BパートはそのほとんどがXライダーとヒュドラーの戦いに費やされています。最初にサトルの病室にヒュドラーが現れて、そこにXライダーが救出に現れてからはもうずっと戦いっぱなし。異例のロングランバトルと言えます。
そのヒュドラー、東京中から現金を奪い、経済を撹乱させるのがその任務ですが、奪った現金を集めるアクリル箱の中身を見ると、岩倉具視の500円札だったり、伊藤博文の1000円札だったり、聖徳太子の10000円札だったり…私は実際にこれらのお札を使っていたことがある世代で、おもわず「うわ懐かしぃ!」とモニタの前で声を出してしまいましたが、平成世代の人たちは見たことないでしょうね、これ…。ちなみにこれらのお札の発行停止は昭和61年(1986年)だそうです。
ところで、ヒュドラーが現金輸送車を襲って、現金を奪い、そこに敬介が乱入してXライダーにセットアップして戦うところまで含めての一部始終を、病院の屋上からサトルが見ているのですけど、割と敬介って、自分の正体を隠そうとしない傾向ありますよね。第2話でのススムとか、第6話のサチコとか。今回に関しては、たまたま見られていただけな面はありますが、サトルも敬介もまるでそんなこと無かったかのようにごく自然に振る舞っているのがある意味不気味です。
脚本:鈴木生朗
監督:折田至