恐怖!墓場から来た吸血男(『仮面ライダーV3』第23話)

あらすじ

藤兵衛、純子、シゲルらと湖にレジャーに訪れていた志郎は、そこで友人の妹・黒田サチコと再会する。彼女によると、兄はノイローゼを患い、この湖畔で療養しているのだという。志郎はサチコの案内で黒田を見舞うが、黒田は志郎の呼びかけにも無反応だった。志郎は変わり果てた友人の姿に失意のうちに黒田宅を去るが、ノイローゼだという黒田の様子に違和感を覚えていた。

その夜、サチコは黒田が夜中に家を出てどこかに向かうのを見た。後をつけると、そこは墓地の中にあるデストロンのアジトだった。黒田の正体はデストロンの怪人・プロペラカブトであり、彼はエネルギー補給のために夜な夜なアジトで若い女の血液を摂取していたのだった。

化け物と化してしまった兄のことを他人に相談することもできず、サチコは翌朝、兄を助けるべく、再びデストロンのアジトに単身踏み込むが、戦闘員に発見され拘束されてしまった。彼女の後をつけていた志郎が救出に飛び込むも、ドクトルGの罠に落ち、落とし穴に拘束されてしまう。

特殊光線の影響で変身もままならない志郎。しかし、別行動中の藤兵衛がアジトの電源をダウンさせ、光線の影響が亡くなった志郎はV3に変身。サチコらを救出し、プロペラカブトと対峙する。

大木の幹をもやすやすと切断するプロペラカブトのプロペラに苦しみながらも、V3反転キックを浴びせてプロペラカブトを打倒した。

悪魔に魂を売った黒田を救うことはできなかった。「あれは兄ではない。兄は今ごろ、天国で微笑んでいる」。寂しそうにそう呟いて、湖面に花束を捧げるサチコを、志郎も藤兵衛も黙って見守ることしかできなかった。

解説

冒頭に、男女四人組が湖岸をサイクリングしているんですが、はい、お約束通り全員始末されます(笑)。ここまで来るともはや伝統芸の域です。

プロペラカブトは女の生き血を飲むことで活動エネルギーを得ているのですが、見ている限りどうにも燃費が悪そうですね。一日に一人分は摂取している感じですし、摂取量が足りないと怪人態を維持することもできない。

そして、そのような燃費の悪さと引き替えになるような抜群の性能でもあるのかといえば、そうも見えない。戦闘においてもV3を特段苦戦させているわけでもなく、大量破壊・大量殺戮が可能な武装を備えているわけでもない。今回、とくに破壊活動的な作戦は立てられていないので、このプロペラカブトもV3を倒すことを主目的に作られたと思われますが、どうにも中途半端な怪人と言えましょう。

プロペラカブトのプロペラは、自律的に飛行して志郎を威嚇・牽制したりもしてますし、現在のドローンさながらですね。さすがはデストロン、時代を40年は先取りしています(笑)

ところでサチコの初登場時、私はうっかり純子と見間違えてしまいました。改めて見直しても結構似ている気がします。

もちろん、純子役の小野ひずるの二役というわけではありません。黒田サチコを演じているのは山田圭子。後に丘野かおり名義で『ウルトラマンレオ』で主人公おおとりゲンの恋人役でレギュラー出演している方だそうです。

兄・黒田を演じた中山克己さんも、『ウルトラマンA』にTACの研究員役でスポット出演していたようで、なかなか興味深い偶然です。

脚本:鈴木生朗
監督:山田稔

第22話「恐怖のキャンプ 地底運河のなぞ!」第24話「怪奇!ゴキブリ屋敷!!」
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