あらすじ
身動きが取れない猛の目の前で、手術台のユリにレーザーメスが迫る絶体絶命の危機。そこに現れてピンチを救ったのは、一文字隼人こと仮面ライダー2号だった。ダブルライダーは人質を全員救出し、アジトに仕掛けられた時限爆弾を解除するとともに、ヒルカメレオンの拘束に成功。ブラック将軍の居所を吐かせようとする二人に、ブラック将軍が声だけで、ヒルカメレオンと人体実験用囚人の人質交換を要求する。
猛と隼人がその人質交換を呑み、ヒルカメレオンを連行し指定場所のパルパル遊園地怪人展示館を訪れると、その場にいたのは倒したはずのゲルショッカーの怪人達。そして、ヒルカメレオンは自分こそがブラック将軍の正体であることを明かした。散開する一団を、再生怪人は滝が、ブラック将軍は滝と隼人が追う。
園内で戦闘員の一団とヒルカメレオンの襲撃に応戦したダブルライダー。疾走するジェットコースター上でのもに合いの末、地上にたたき落とされたヒルカメレオンは、既に瀕死だった。周囲に擬態して姿を消すもダブルライダーには通用せず、とどめの一撃を食らう。ヒルカメレオンはブラック将軍の姿に戻ると、
「最後に笑うのはゲルショッカーだ!我が偉大なる首領に…栄光あれ!!」
絶叫とともに、爆発して果てた。
一方で、滝とライダー隊本部のメンバー達は再生怪人たちによって全員拘束される。ライダー達を始末するべく、滝の声を模した偽の通信でダブルライダーを浜名湖のゲルショッカー日本総本部に呼び出す。現地に現れたダブルライダーに再生怪人達をぶつけ、さらには首領自ら影となって現れ、ダブルライダーに大ダメージを与えるも、ダブルライダーは総本部内に突入し、姿を現した首領と対峙する。
組織と自らの最後を悟った首領は、ダブルライダーの目の前でアジトもろとも自爆。かくして、ゲルショッカーはついに壊滅に至ったのであった。
長かった戦いは終わり、滝もFBIの任務に戻るためアメリカへ帰国。本郷猛と一文字隼人の長い苦悩の日々も、終わりを告げたのであった。
解説
だいたい、連続ドラマも最終回が近くなると、残り4~5話くらいを使って、クライマックスへ向けてストーリーを盛り上げて「引き」を作るのが普通だと思います。仮面ライダーシリーズでも、ドラマ性を高めてきた平成シリーズ以降はもちろんのこと、昭和シリーズにおいてもほとんどの場合はそういった展開が用意されるのですが、本作に関して言えば、全くと言っていいほどそのような「引き」がありません。なので、98話で終了するという予備知識が無いままこの本作を見ると、最終話に至り「え?これで終わり?」という唐突感を感じると思います。本当に、直前の97話までいつもとほとんど変わらない平常運転なんです。
さて、その最終回は、いきなりの2号ライダーの乱入から始まります。ここで有名な台詞「ライダー2号を忘れていたな!!」が出ます。うん、実際ライダー2号って存在を忘れられがちだよね…。ガニコウモル戦で1号ライダーが死んだ(と思われた)時に、滝が「これからは俺たちだけでゲルショッカーと戦うんだ!」とか隼人ガン無視の暴言吐いてましたしね…。
パルパル遊園地でヒルカメレオンがブラック将軍の正体であることを明かしたときの猛の台詞。
「俺たちを甘く見たなブラック将軍!ゲルショッカーの最高幹部は、常に改造人間であるはずだ」
いや、常に、と言われてもね…ゲルショッカーの最高幹部はブラック将軍しかいたことないし…
そしてブラック将軍が死んでさらに1号ライダーのひと言。
「ゲルショッカーの幹部は、皆それぞれ勇敢だった」
いや、だから一人しか居ないからね?
ちなみにこの「パルパル遊園地」というのは当時浜名湖の湖畔にあった遊園地で、現在も「浜名湖パルパル」という名前で存在しています。
ブラック将軍が斃れた後、ヒルカメレオンが甦らせた再生怪人がダブルライダーに挑むのですが、これがまあ絵に描いたような再生怪人達でして、とにかく弱いこと弱いこと。ちょっと放り投げられただけで爆発四散ですよ。これまでの再生怪人の中でもトップクラスの貧弱さじゃないですかね。ちなみに、すべてゲルショッカーの怪人達で、ショッカーの怪人はゼロでした。
ゲルショッカー壊滅後、滝のアメリカ帰国シーンは主人公さながらの扱いですね。二人の主役よりも長いこと番組を担ってきたとも言える、滝和也と千葉治郎へのリスペクトの表現だったのかもしれません。
かくて、仮面ライダーシリーズ全ての原点でもある本作が、約2年間の放映にいったん幕を下ろすことになります。番組自体は、新しい「3号ライダー」を主人公とした直接的な続編、『仮面ライダーV3』へと続いていくのです。
脚本:伊上勝
監督:塚田正煕