地底から来た変なヤツ!!(『仮面ライダーアマゾン』第5話)

あらすじ

アマゾンがかりそめの拠点としていた郊外の森林に、逃走中の連続殺人犯が入り込んだ。アマゾンと遭遇し、猟銃を見せて威嚇する殺人犯だったが、あっさり猟銃を奪われ、目の前で飴細工のように折り曲げられると恐れをなして逃走。

十面鬼からアマゾン抹殺の指令を受け、アマゾンの拠点を捜索していたモグラ獣人はこの殺人犯を襲撃。悲鳴を聞きつけてモグラ獣人と格闘するアマゾン。しかし、殺人犯を追ってきた警官隊が駆けつけると、目撃されることを警戒してモグラ獣人は撤退。それを任務放棄とみなした十面鬼はモグラ獣人を処刑しようとするが、ジューシャの取りなしにより、最後のチャンスを与えた。

一方アマゾンは、犯人逮捕の協力を警官隊に感謝されるも、名前や住所を尋ねる警官に答えられず、不審者として連行されかけたところを暴れたため、公務執行妨害で逮捕される。ニュースを聞いて慌てて藤兵衛が身元引受人として引き取りに来るが、その場に突如マスコミ陣が殺到。犯人逮捕に一役買った野生児に向けられる好奇の目。この国の人間とは心を通わせられない。失望したアマゾンは海岸にたたずみ、遠いアマゾンの密林に思いを馳せる。

そこに、まさひこがモグラ獣人に攫われたと、藤兵衛とりつ子から報される。この国の人間は嫌いだ。だが、まさひこはトモダチ。アマゾンはまさひこの姿を必死に探し回り、ようやく海岸でロープで拘束されているまさひこを発見した。急いで駆け寄ろうとするアマゾンを、地中からモグラ獣人が襲う。

変身してモグラ獣人と戦うアマゾン。「ギギの腕輪をよこせ!」モグラ獣人が何気なく発したその一言で、アマゾンはゲドンが自分を狙う理由が、左腕の腕輪であることを知る。モグラ獣人のスピードに翻弄されつつも、壮絶なもみ合いの末に重傷を負わせて退けることに成功、まさひこを無事助け出した。

ゲドンが狙うのが自分の持つ腕輪であることは解った。しかし、その腕輪を狙う理由は何か。その謎を求め、アマゾンはさらなるゲドンとの戦いに踏み込んでいく。

解説

アマゾンみたいな野生児が東京に実際に居たらどうなるか。ご都合主義を抜きにして、実際こうなるだろうなと想定されることが忠実に再現されていますね。周りの不理解と好奇の目。それらがもたらす人間不信。唯一信じられるのはまさひことの友情だけ。「キライダ!ニンゲン、キライダ!!」と叫びながら夜の都会を怒りのままに駆け抜けるアマゾン。子供番組にはちょっと重めのテーマを突きつけてきます。

アマゾンの野生児が犯人逮捕に貢献したと新聞が報じるシーンでの、印刷機械が高速で新聞を刷る映像。昭和のドラマでよく見かけた、我々の世代にはおなじみの画面ですね。思わず懐かしさを感じてしまいました。

さて、モグラ獣人の初登場回になります。とはいえ、今回はとくに特筆するようなシーンはないです。この時点では、後に仲間になるような気配はまったく見せていません。十面鬼からアマゾン抹殺を命じられ、一度は警官隊の乱入で断念して怒りを買い、最後のチャンスを与えられリベンジに挑むもアマゾンにメッタメタにされて重傷を負って撤退。これまで敗れてきた獣人達とまったく同じパターン。その最後までは描かれていませんが、このあと十面鬼に処刑されるであろう事は容易に想像ができる。なので、次回で再度登場し、ましてやアマゾンの仲間になるとか、結構なサプライズだったと想像しますね。

で、今回のモグラ獣人もそうなんですが、アマゾンは攻撃手段がかみつきだったりひっかきだったり、割と外から見えにくい攻撃がダメージ源であるためか、なんか組んずほぐれつしている間に、よくわからないけどいつの間にか獣人が弱っている、なんてシーンがよくありますね。絵面としては非常に地味で、アクションの爽快さみたいなものは皆無です。モグラ獣人を切り裂いて黄色い血しぶきが吹き上がるシーンなんかは派手ではありますが、爽快と言うよりもはやホラーですよ。試みとしては斬新で面白いと思うのですが、低迷する視聴率を挽回できなかった理由の一つにはなってそうな気がします。

なお、モグラ獣人の声は5話と6話のみ池水道洋で、それ以降は槐柳二とオープニングでクレジットされていますが、これは誤りで、当初からモグラ獣人の声は槐柳二が一貫して担当しています。

脚本:鈴木生朗
監督:内田一作

第4話「走れ!怒りのジャングラー!!」第6話「インカ縄文字の謎!!」

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