仮面ライダー・本郷猛は改造人間である。彼を改造したショッカーは、世界征服を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーは、人間の自由のためにショッカーと戦うのだ!
- 放映期間
- 1971年4月~1974年2月
- 主演
- 藤岡弘(1~13話、53話~98話)
- 佐々木剛(14~52話)
エピソードリスト
解説
記念すべきシリーズ第1作目「仮面ライダー」は、1971年4月~1973年2月のほぼ1年10ヶ月にわたって放映されました。これは平成ライダーシリーズも含め歴代最長です。エピソード数も全98話におよび、これも当然歴代最多。
仮面ライダーは、「それまでに無い新しいヒーローを」というコンセプトの元に製作されました。仮面ライダーの出で立ちは、今でこそ違和感なく受け容れられてますが、この当時においては、正義のヒーローとしては相当な違和感を伴うデザインだったと聞きます。
それは、当時既にヒーロー番組の巨頭としての地位を築いていたウルトラマンと比べるとわかりやすいでしょう。菩薩顔で全体的にのっぺりとした、良い意味でシンプルでスッキリとした顔立ちのウルトラマンに比べ、ダークグリーンの仮面に不気味に赤く光る大きな複眼、そして禍々しい顎の形状はまさにヒーローと言うよりは怪物然とした出で立ちです。
仮面ライダーのデザインモチーフは昆虫の「バッタ」であるとされていますが、それは表向きで、実は「骸骨」が裏のモチーフであるとも言われてます。
原作とキャラクターデザインを担当した石ノ森章太郎は、それまでに無いヒーロー像をということで、骸骨をモチーフとした強烈なインパクトのあるデザインを目指しましたが、様々な大人の事情で骸骨モチーフはNGとされました。しかし、骸骨モチーフが諦められなかった石ノ森は、骸骨によく似た顔立ちのバッタをデザインモチーフとして採用し、今の仮面ライダーが生まれたと言われています。
こうして、まったく新しい異形のヒーローとして誕生した仮面ライダーは、放映当初こそ視聴率で苦戦したものの、2号ライダーの登場、およびその後の1号復帰によるダブルライダーの共演を経て人気が爆発。2年近くにわたるロングラン放映となるに至ったのです。
さて、その全98話の仮面ライダーですが、大きく以下の3つの期間に分けられます。
旧1号編
旧1号編(1話~13話)は、藤岡弘(現・藤岡弘、)演じる本郷猛を主人公として展開されます。
この旧1号編は、「本格怪奇アクション」という位置づけで、全体的にダークかつ不気味さを前面に押し出した作風になっています。ショッカーの演出はかなり不気味でミステリアスな雰囲気を前面に押し出し、本郷猛は、人ならざる身体とされてしまった己の不幸を嘆きつつも、ショッカーと戦える唯一の存在として立ち向かうという、影をまとった主人公です。
この旧1号編の作風は今でこそ高く評価されていますが、放映当時は苦戦し、2号編での路線変更へとつながっていきます。
2号編
2号編(14話~52話)では新しい主人公、佐々木剛演じる一文字隼人が登場。
この主役交代劇は、本来の主演であった藤岡弘が撮影中の事故で重傷を負い、出演不能となったことによるもので、佐々木は藤岡の復帰までという約束で代役を引き受けたとされています。
2号編ではそれまでの不気味な怪奇アクション路線を一新し、改造人間の悲しみを背負いながらも明るさを失わない主人公、ライダーガールズと呼ばれる華やかな脇役女優達の投入、ショッカーも不気味に忍び寄る秘密結社というよりは、大がかりな悪事を働くテロ組織的なものになり、全体としてわかりやすさを重視した作劇になりました。
ショッカーに「大幹部」と呼ばれる首領の代行者がレギュラーとして登場したのもこの頃です。
2号編の終盤では、怪我から復帰した藤岡とダブルライダーとして共演し、これが大人気を呼ぶことになります。
そして、藤岡の本格的な復帰とともに、約束通り佐々木は主演を退き、番組は再び本郷猛を主人公に据え、新1号編として仕切り直します。
新1号編
新1号編(53話~98話)では、藤岡弘が主演に復帰。1号ライダーのデザインも一新され(新1号ライダー)、2号編で確立されたわかりやすさ重視の路線が継承されます。番組終盤では、ショッカーに変わる新組織ゲルショッカーの登場、2号ライダーのゲスト出演などの、マンネリ化を防ぐテコ入れが行われました。
さらには3号ライダーの登場も検討されていたとされますが、3号ライダーは実現することなく、番組は人気絶頂のママ、新番組「仮面ライダーV3」へのバトンタッチとなっていきます。
この新1号編を「新1号編」(53話~79話)と「ゲルショッカー編」(80話~98話)に分け、番組全体を四部構成とする分類もあります。
主な登場人物
本郷猛 (演:藤岡弘)
IQ600を誇る城南大学の天才科学者にして、一流オートレーサー。その卓越した能力に目を付けた秘密結社ショッカーにより改造人間とされてしまう。
人間ではない身体にされてしまった己を嘆きつつも、仮面ライダーとなって人間の自由を奪うショッカーとの孤独な戦いを決意する。
第13話を最後に、ショッカーの別計画を追ってヨーロッパへ旅立つ。第53話で日本に舞い戻った。
一文字隼人 (演:佐々木剛)
第14話から登場。柔道六段、空手五段の実力を誇るフリーカメラマンの青年。
その身体能力に目を付けたショッカーにより改造人間とされるが、脳改造直前に本郷猛により救出される。ショッカーの別計画を追ってヨーロッパへ飛び立った猛に代わり、仮面ライダーとなって日本を守る。
第52話を最後に本郷猛と入れ替わる形で、死神博士を追って南米へ転戦する。その後も、時々帰国する。
立花藤兵衛 (演:小林昭二)
オートレーサーとしての猛をサポートする、スナック経営の男性。後に立花レーシングクラブを立ち上げ、会長に収まる。
ショッカーの存在や、猛・隼人が改造人間であることを知っており、彼らの孤独な戦いを、時には叱咤激励しながら支える。
ライダーの愛車、サイクロン号を自作するなど、卓越したメカニックとしての技術を持つ。
緑川ルリ子 (演:真樹千恵子)
第1話~第13話に登場。
猛の恩師である、緑川博士の娘。
父親が蜘蛛男に殺される現場に猛がいたことから、猛が父親を殺した犯人と誤解するが、誤解が解けた後は猛の良き理解者として彼をサポートする。
ヨーロッパへ飛び立った猛を追って、自身もヨーロッパへ飛び立つ。
滝和也 (演:千葉治郎)
第11話から登場。
FBI(アメリカ連邦捜査局)の特命捜査官。インターポールに出向し、ショッカーの存在を追って日本に着任した。猛や隼人の正体を知っている人物の一人であり、FBIの組織力も背景に仮面ライダーの戦いをサポートする。
ゾル大佐 (演:宮口二郎)
第26話~第39話に登場。
ショッカー中東支部より日本支部へ派遣された大幹部。
軍人出身であり、常に軍服を着用する。変装が得意で、滝に化けたこともアル。2号ライダーを相手に数々の卑劣な作戦を実行。最後は狼男となって2号と戦い、敗れた。
死神博士 (演:天本英世)
第40話~第68話に登場。
ゾル大佐に代わりショッカースイス支部より日本へ派遣された大幹部。
改造人間製造の天才で、次々と凶悪な改造人間を生み出し2号ライダーを苦しめるが、第52話以降、1号ライダーが日本に舞い戻ってくると南米支部へ敗走。その後は1号ライダーの打倒に固執して、スポット的に日本へ戻ってくるも、1号ライダーに倒された。
地獄大使 (演:潮健児)
第53話~第79話に登場。
ショッカー東南アジア支部の大幹部で、南米支部へ敗走した死神博士に代わり日本に着任した。首領に忠実な大幹部として作戦を遂行するも、最後はショッカーを見限った首領に裏切られた挙げ句、1号ライダーに敗れ、ショッカーの組織とともに敗死した。
ブラック将軍 (演:丹羽又三郎)
第90話~第98話に登場。
首領がショッカーに代わり新たに組織したゲルショッカーを指揮する大幹部。ショッカー怪人より強力なゲルショッカーの合成改造人間と戦闘員を駆使し、緻密に作戦を遂行するも、ダブルライダーに敗れ戦死する。
首領 (声:納谷悟朗)
ショッカー、およびゲルショッカーを率いる正体不明の存在。
普段は怪人や戦闘員にもその姿を見せることは無く、声のみで怪人や大幹部に命令を下す。非情な性格の持ち主で、ショッカーを捨ててゲルショッカーを結成する際には、忠実な大幹部である地獄大使を捨て駒にし、ゲルショッカーの正式発足後は旧ショッカー構成員の虐殺を容認するなどしている。最後は浜名湖底のゲルショッカーアジトでダブルライダーに敗れ、アジトもろとも爆死した…はずだったが…